与党セヌリ党のユ・スンミン院内代表が任期途中で辞任したのは、国政運営をめぐる朴槿恵(パク・クンヘ)大統領との摩擦直接の原因だったが、保守派内部での路線をめぐる対立も少なからず影響を与えた。今年4月、国会内交渉団体での演説をきっかけに始まった「ユ・スンミン路線」が論議を呼び、ついには院内代表辞任に至るまでの大問題となった。ユ氏が標榜した「温かい保守、正義に満ちた保守」に対し、ある勢力は「国民が望ん..
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与党セヌリ党のユ・スンミン院内代表が任期途中で辞任したのは、国政運営をめぐる朴槿恵(パク・クンヘ)大統領との摩擦直接の原因だったが、保守派内部での路線をめぐる対立も少なからず影響を与えた。今年4月、国会内交渉団体での演説をきっかけに始まった「ユ・スンミン路線」が論議を呼び、ついには院内代表辞任に至るまでの大問題となった。ユ氏が標榜した「温かい保守、正義に満ちた保守」に対し、ある勢力は「国民が望んでいた『改革保守』であり、保守派が歩むべき道を示した」と高く評価したが、別の勢力は「ポピュリズムに屈服し、セヌリ党の理念や価値観を放棄した」と批判する声も高まった。
ユ氏の政治生命は、来年の国会議員総選挙の結果や、その後の状況によって決定付けられるだろう。だが、ユ氏個人の政治生命の行方とは関係なく「ユ・スンミン路線」は生命力を維持し続ける可能性が高い。総選挙や次期大統領選挙を控え、セヌリ党と保守派内部で生じざるを得ない路線対立を、ユ氏が先に仕掛けたからだ。「ユ・スンミン氏不在のユ・スンミン路線」をとることもいくらでも可能だ。そのような点において、今回保守派内部で生じた攻防は振り返る必要がある。
保守派の少なくない人たちが「ユ・スンミン路線」に対して抱えている大きな不満は、「自分の政治」のために、それまで厳しい条件の下で国を造り、守り、発展させてきた保守派を「冷たい保守」「正義のない保守」に仕立て上げたという点だ。彼らは一部のメディアや論客がユ・スンミン路線を「改革保守」、これまでの保守派を「守旧保守」に分類していることも正しくないとみている。韓国の保守派が「冷酷で正義に反する」というのは、進歩派がつくり上げたフレームだが、それに屈服することにより、進歩派に道徳的な優位性を譲り渡し、誰が保守派内部の勝者になっても「亜流」にならざるを得ない状況を作り出したというわけだ。
政治勢力内部で路線対立を引き起こす集団は、誰であっても自らの新たな路線や知的・道徳的な優位性を強調しようとする。10年にわたって進歩派政権が続いていたころ、保守派の新たな勢力を自任してきた「ニューライト」も、それまでの保守派を「オールドライト」と定義することにより、保守派内部の緊張や摩擦を引き起こした。ニューライトは「オールドライト内部に残っている権威主義や不正腐敗の一掃を目指す」と主張したのに対し、それまでの保守派は「貧困の泥沼にはまっていた祖国を、北朝鮮の脅威から守り、経済大国に育て上げた人たちに対する侮辱だ」と反発した。
「正義に満ちた保守」は、これまでの保守派の本拠地出身で主流の経済学者が反旗を翻したという点で、進歩派から転向した社会運動家たちが主導したニューライトよりも衝撃が大きい。また、ニューライトが登場した当時は保守派が政権を取り戻すべき立場だったのに対し、今は政権を守るべき立場だという違いもある。それだけに、劇的な効果を期待することもできるが、逆に自己破壊的な結果を招く恐れもある。「正義に満ちた保守」に拍手喝采(かっさい)を送る人たちの多くが「飼いウサギ」ではなく「野ウサギ」だという点も論議を複雑化させている。
大型選挙を控える中、路線対立は避けられないが、10年前の未熟な行動を繰り返す必要はない。当時、保守派が政権を奪還する理念を与えたのは、自己否定ではなく、保守派の歴史(建国と近代化)を土台に進歩(民主化)をひっくるめることで、保守派の将来ビジョンを示した「先進化論」だったという事実を忘れてはならない。
李先敏(イ・ソンミン)世論読者部長
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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