車夫、馬子まで暇さえあれば本を読んだ…「読書大国」日本の誕生(下)

2022/01/09 18:23

「明治時代に新聞連載物が人気を集め、一定の活字を消化する習慣を体得」 20世紀には文庫本・雑誌が大流行…黙読が定着し、「読書の黄金時代」へ 【新刊】津野海太郎著、イム・ギョンテク訳『読書と日本人』(心の散策社刊)

 20世紀の日本では「読書の黄金時代」が幕を開けた。本が大量生産され、全国的な流通網を備えることにより資本主義的産業として出版の構造が成立した。1923年、講談社が「一家一冊」を掲げて大衆総合誌『キング』を創刊。全国民を対象とする「百万雑誌」が誕生する。26年には改造社が「現代日本文学全集」63巻の配本を開始し、全国的な「円本ブーム」が起きた。公務員の初任給が75円だった時代、長編小説3巻が収めら..

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