ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は27日(現地時間)、「今回の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で採択される新たな戦略概念は、中国が引き起こす脅威について前例のない方法で言及するものと期待してもいいだろう」と語った。米国と欧州の軍事同盟機構であるNATOが28日から30日までスペインのマドリードで開催する首脳会議をきっかけに、中国を「脅威」として公式に認め、今後は戦略的次元..
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ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は27日(現地時間)、「今回の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で採択される新たな戦略概念は、中国が引き起こす脅威について前例のない方法で言及するものと期待してもいいだろう」と語った。米国と欧州の軍事同盟機構であるNATOが28日から30日までスペインのマドリードで開催する首脳会議をきっかけに、中国を「脅威」として公式に認め、今後は戦略的次元において真正面から対応することを宣言するという意味だ。サリバン補佐官は主要7カ国首脳会議(G7サミット)とNATO首脳会議に出席しているジョー・バイデン大統領に随行している。
NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長も同日、新戦略概念に関して「中国を初めて取り上げるだろう」「北京が我々の安全保障、利益、価値にもたらす脅威について言及されるだろう」と述べた。
米ホワイトハウスはまた、同日から来月1日までポルトガルのリスボンで行われる国連海洋会議で、米国・英国・カナダ間の「違法・無報告・無規制(IUU)漁業行動同盟」を発足させると明らかにした。ホワイトハウスは「悪い行為をした者の責任を問うための新たなパートナーシップ構築が目的だ」と述べたが、「悪い行為をした者」とは事実上、中国を指している。
ドイツで行われたG7サミットが26日、中国の「一帯一路」に対抗する「グローバル・インフラ及び投資のためのパートナーシップ」を発表したのに続き、NATOが中国をけん制する新たな戦略概念を作ることにしたことで、米国が全世界の自由民主主義陣営を結集し、経済はもちろん、安保などあらゆる分野で「グローバル対中包囲網」を構築することになる見通しだ。
サリバン補佐官は同日、「世界の先導的民主主義国家は今回のG7サミットとNATO首脳会議を通じて中国が引き起こす脅威、特に中国の非市場経済慣行や人権に対するアプローチなどについて互いに相談し、(意見と戦略を)調整しなければならないという喫緊の必要性に共感している」と述べた。その上で、「(国際社会で)公正であり、皆が理解し、同意できる一連の原則、通行規則を擁護したい」「中国がこれらの規則を守るよう責任を問うため、よく似た考えを持った国同士の協力を確固たるものにしなければならない」と語った。
欧州の安全保障のために作られたNATOが新たな戦略概念に「中国の脅威」を明記することにより、米国は全世界の自由陣営国家をひとつにまとめ、安全保障と経済分野の両方で中国をけん制する一石二鳥戦略を完成させることになったとみられている。NATOは米国やカナダなど北米2カ国と英国・フランス・ドイツ・イタリアなど欧州28カ国が加入している軍事同盟だ。NATOはこれまで、ロシアの脅威に対抗して欧州を保護することに力を入れてきた。ロシアが侵攻したウクライナを全面的に支援しているのがその代表的な事例だ。このような状況で、NATOが初めて戦略概念に「中国の脅威」を盛り込むことを決め、今後これに関連した具体的な実行指針が設けられることになった。今回の首脳会議では、韓国・日本・オーストラリア・ニュージーランドなどアジア・太平洋地域の国々を招待することにより、中国をけん制するメッセージがより鮮明になった。
これまで米国はアジア・太平洋地域で対中戦線強化のため努力してきた。日本・インド・オーストラリアなどと共に4カ国安保の枠組み「Quad(クアッド)」を創設したのに続き、昨年9月には英国・オーストラリアが参加する3カ国安保協力体「AUKUS(オーカス)」を設立した。バイデン米大統領は当時、「我々はインド・太平洋の長期的な平和と安定を保障することが絶対に必要だと認識しているため、(AUKUS発足という)歴史的一歩を踏み出す」と語った。啓明大学中国語・中国学科のイ・ジヨン教授は「ウクライナ侵攻で中国がロシアと密着し、南シナ海と南太平洋にとどまらず、アフリカや中東にまで勢力を拡大する姿を見たことで、欧州諸国が深刻な脅威を感じた」「その対抗手段としてNATOという連合体を活用することに共感したものだ」と分析した。
安保だけでなく、経済・人権・サイバー分野などで「対中包囲網」を構築することも重要な成果として挙げられている。トランプ前大統領が発動した対中貿易戦争が続く中、グローバル・サプライチェーンの崩壊などで、より多くの国々を自分の側に引き寄せなければならない米国としては、目の細かい対中けん制網を構築することが急務だからだ。米国は先月、計13カ国が参加するインド太平洋経済枠組み(IPEF)を創設したのに続き、3日にはIPEFから除外された台湾と経済貿易分野の協力を強化する「21世紀の貿易に関する台湾・米国イニシアチブ」を稼働させることで合意した。
一方、ロイター通信は同日、「NATO加盟国は戦略概念に中国問題をどのように反映させるかをめぐって依然、交渉中だ」と報道した。「米国と英国は中国の徐々に増しつつある軍事的野心と台湾侵攻関連の懸念を反映させ、より強力な表現を使おうと主張している反面、フランスとドイツは欧州の対中投資を考慮して慎重な言及を望んでいる」と同通信は伝えている。
ワシントン=金真明(キム・ジンミョン)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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