▲西海で北朝鮮軍に殺害され遺体を焼却された韓国政府職員の故イ・デジュンさんの兄イ・レジンさん/NEWSIS
韓国監査院が13日に発表した故イ・デジュンさん殺害事件の監査結果の要点は「文在寅(ムン・ジェイン)政権はイさん救助のために何もせず、殺害された後は関係する証拠を捏造(ねつぞう)し『自分の意志で越北した』と国民に向け発表した」ということだ。監査院は前政権の青瓦台(韓国大統領府)国家安保室が「越北捏造」を事実上指示したとにらみ、青瓦台や国防部(省に相当、以下同じ)、海洋警察などがいかにして隠蔽(いん..
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▲西海で北朝鮮軍に殺害され遺体を焼却された韓国政府職員の故イ・デジュンさんの兄イ・レジンさん/NEWSIS
韓国監査院が13日に発表した故イ・デジュンさん殺害事件の監査結果の要点は「文在寅(ムン・ジェイン)政権はイさん救助のために何もせず、殺害された後は関係する証拠を捏造(ねつぞう)し『自分の意志で越北した』と国民に向け発表した」ということだ。監査院は前政権の青瓦台(韓国大統領府)国家安保室が「越北捏造」を事実上指示したとにらみ、青瓦台や国防部(省に相当、以下同じ)、海洋警察などがいかにして隠蔽(いんぺい)・捏造したかなどその詳細な内容も公開した。
青瓦台安保室は2020年9月22日午後5時18分に国防部から「イさん生存」「北朝鮮の海域で発見」との報告を受けた。安保室は同日午後6時36分に当時の文在寅大統領に「(イさんは)海に落ちたと推定」「北朝鮮が失踪者を発見」と書面で報告した。しかし安保室はその後、最初に報告を受けた内容を検討する会議を開催せず、徐薫(ソ・フン)国家安保室長(当時)は午後7時30分ごろに退勤したという。監査院が明らかにした。国防部も「この事件は統一部の所管」として何の対応もせず、統一部も同様だった。
その間にイさんは北朝鮮軍により射殺され、遺体は焼却された。この日午後10時にこの事実について報告を受けた安保室は3時間後の23日午前1時、国防部長官と統一部長官、そして国家情報院長を呼んで会議を開いた。その後、国防部と国家情報院は未明に担当者を呼び、事件に関する内部資料106件を破棄した。統一部は23日に長官主催の幹部会議を開き、統一部が事件を把握した最初の日時を22日ではなく23日にすることを決めた。これらも監査院の調査で明らかになった。
安保室は23日午前、イさん殺害の事実を文前大統領に対面で報告し、午前10時ごろに開催した関係閣僚会議で「イさんは自らの意志で越北したと判断している」とする総合分析結果について報告するよう国防部に指示した。その一方で「イさんは海洋水産部漁業指導船の他の乗組員とは違って一人だけライフジャケットを着用し、監視カメラの死角でスリッパを脱いで失踪した」と説明した。しかし監査院は「安保室が説明したこれらの内容は根拠がなく、また国防部と海洋警察による調査結果とも矛盾する」と指摘した。しかし安保室はその後も国防部や海洋警察などに「(イさんは)自分の意志で越北したことにして一致して対応せよ」「船舶の監視カメラでスリッパが発見され、地元では(家庭の不和により)一人で生活したという二つのファクトを記者団に伝えよ」との指針を下した。
国防部と海洋警察はこの指示にそのまま従った。しかし監査院が調べたところ、政府が発表したイさん越北の根拠は全てうそだった。まず殺害されたイさんが着用していたライフジャケットには漢字が書かれてあった。韓国国内で流通するライフジャケットに漢字が書かれたものはなく、この事実は当時の海洋警察も把握していたが、イさん着用のライフジャケットに漢字が記載されていた事実を発表の際に伝えなかった。当時の海洋警察庁長はこの点について報告を受けたが「(報告書を)見なかったことにする」と語ったというのだ。イさんが乗っていた船のライフジャケットは最初の数が全て残っていた。
監査院によると、海洋警察の捜査チームは「自らの意志で越北したとは断定できない」として反対したにもかかわらず、海洋警察庁長は「他の可能性は全く考えられない」「越北が正しい」として押し切ったという。海洋警察は船舶に残されたスリッパもイさんのものという証拠がないにもかかわらず、イさん所有と発表した。監査院は「海洋警察は越北の動機としてイさんがワタリガニを買う代金を賭博で使い込んだためとしているが、これも確認できていない私生活の領域だった」と指摘した。
海洋警察はイさんが自らの意志で越北した根拠をでっち上げるため、実験結果まで捏造したという。海洋警察は国立海洋調査院などに「イさん漂流経路の予測分析」を依頼したが、「イさんは自然に漂流して北朝鮮の海域に流れ着いた可能性がある」との結果が出ると、この分析結果を除外するよう圧力をかけたという。またイさんが失踪した地点とは潮流などの環境が全く異なる仁川内港で人間が1キロ泳いだ実験結果を根拠に「失踪した周辺海域から17時間かけてゆっくり泳げば(北朝鮮の海域までの)33キロ進むことができる」とする結論をでっち上げたことも分かった。
さらに監査院は国防部が北朝鮮から同年9月25日「遺体ではなく(イさんが乗っていた)浮遊物を焼却した」という内容の通知文を受け取った後、政府の対応が「遺体焼却確認」から「遺体焼却推定」へと変更されたことも明らかにした。文前大統領もその後27日の関係閣僚会議で「国防部の遺体焼却(確認)発表はあまりに断定的だった」としてこれを改めて確認するよう指示したという。
チョ・ベッコン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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