▲1月20日午後8時、泥酔状態の30代女性がソウル市広津警察署管轄の華陽地区隊内にある椅子に横たわっている。=パク・チンソン記者
「酒に酔った人が倒れています。何とかしてください」
1月30日午後10時ごろ、ソウル市永登浦区のあるコンビニから通報が入った。永登浦警察署中央地区隊所属の警察官が出動し、酒に酔った中年男性をコンビニから地区隊に移した。身元を割り出したところ、蔚山市所在の男性だった。妻の名前や連絡先を問うも「えっと、052」と、まともに受け答えができない。男性のポケットには携帯電話もなかった。結局、警官はその後、..
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▲1月20日午後8時、泥酔状態の30代女性がソウル市広津警察署管轄の華陽地区隊内にある椅子に横たわっている。=パク・チンソン記者
「酒に酔った人が倒れています。何とかしてください」
1月30日午後10時ごろ、ソウル市永登浦区のあるコンビニから通報が入った。永登浦警察署中央地区隊所属の警察官が出動し、酒に酔った中年男性をコンビニから地区隊に移した。身元を割り出したところ、蔚山市所在の男性だった。妻の名前や連絡先を問うも「えっと、052」と、まともに受け答えができない。男性のポケットには携帯電話もなかった。結局、警官はその後、最初に通報が入ったコンビニ近くの宿泊施設を同男性の写真を見せながら回った。彼が宿泊中だったホテルを見付け、部屋に連れ帰ったのは、約3時間後の午前1時30分だった。
ほとんどの公共施設では室内におけるマスク着用の義務が解除されるなど、コロナ・エンデミック(Endemic、風土病化)の局面が本格化すると、全国各地の地区隊で酒酔い客がコロナ以前の水準にまで急増し始めている。通報が殺到する中、現場に向かった警官たちが酒に酔った市民たちを介護しなかったことで、酒酔い客たちが街中で死亡するなど、警察に対する国民の視線も厳しさを増している。
2月1日、ソウル市警察庁が「国民の力」のイ・ジョンベ議員室に提出した資料によると、昨年ソウル地域の酒酔い客関連の苦情件数は3万8210件と、前年比で16%増となった。若年層が多く集まる弘大一帯を管理する麻浦区弘益地区隊には昨年1年間で、計736件の苦情が寄せられるなど、前年(419件)比で76%も増えた。建国大学周辺を管轄する広津警察署華陽地区隊でも、同期間に寄せられた苦情件数は46%増となった。
実際、本紙が1月20日午後7時から翌日午前7時30分までの約12時間にわたり、華陽地区隊の夜間勤務を同行取材してみたところ、酔客関連の通報が殺到した。まず午後8時ごろ、ある30代の女性が泥酔状態で警察の助けを受けながら地区隊に担ぎ込まれてきた。警官は7人掛かりで介護に当たった。青いラテックスの手袋をはめ、床に茶色の三つ折りマットと新聞紙を敷いた。女性が吐きそうになると、ごみ箱にビニール袋をかぶせて持ってきた。女性警官は泥酔状態の女性の髪も結わいてやった。1時間後には、この女性をパトカーで家まで送った。同日同行取材した約12時間の間、華陽地区隊には合わせて42件の通報が寄せられたが、このうち27件が酔客関連のものだった。
しかし、最近では警察の不適切な対応もあり、市民の間では「警察が市民の保護をおろそかにしている」と批判する声も高まっている。地区隊や交番など、第一線で勤務する警官たちの規律が緩んでいるとの指摘もある。1月19日、ソウル市東大門警察署の徽慶交番所属の警官2人が、酒に酔った人が道に横たわっているという通報を受けて現場に駆け付けたものの、当時酔客との対話がままならず、特別な措置を施すこともなく6分後にその場を後にした。しかし、その後、酒酔い客が路地に移動し、道に横になっていたところ、ワゴン車にひかれて死亡する事故が発生した。1月30日にはソウル市江北警察署の弥阿地区隊所属の警官が寒波の中、泥酔した60代の男性を家の前まで送りその場を後にしたが、同60代の男性は死亡した姿で発見された。
ユン・ヒグン警察庁長は2月1日、徽慶交番を訪ね現場の意見をくみ上げたほか、記者団と会見し「警察庁長として申し訳ない」と謝罪した。2日、チョ・ジホ警察庁次長の主宰で全国17市道の警察庁担当者らと対策会議も行った。
一方、現場を担当する警官たちの間では「酒酔い客を家まで安全に送り届けることは、本当に警官の仕事なのか」とする不満の声もある。路上で寝ている酔客を起こして悪口を言われたり侮辱されたりするのも一度や二度ではないという。警察の関係者は「酒酔い客と関連し、警察がどれだけ介入しなければならないか判断を下すのが非常に難しい」とし「週末や年末年始などは酒酔い客があまりにも多い。出動要請が入り次第全ての現場に駆け付けていては、ややもすると重要な事件に対応できない恐れもある」と、警察官としての事情を吐露した。
パク・チンソン記者、イ・ヘイン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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