昨年末時点で総資産が2090億ドル(約27兆8000億円)あった米シリコンバレー銀行(SVB)がわずか36時間で「超高速破綻」し、世界に衝撃を与えた。SVBが18億ドルの損失を出したと発表するや、それがスマートフォンのメッセンジャーを通じてシリコンバレーに一瞬で伝わり、預金者がスマートフォンで資金を引き出したため、一日で55兆ウォン(約5兆6000億円)が流出した。結局、SVBは流動性不足と支払..
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昨年末時点で総資産が2090億ドル(約27兆8000億円)あった米シリコンバレー銀行(SVB)がわずか36時間で「超高速破綻」し、世界に衝撃を与えた。SVBが18億ドルの損失を出したと発表するや、それがスマートフォンのメッセンジャーを通じてシリコンバレーに一瞬で伝わり、預金者がスマートフォンで資金を引き出したため、一日で55兆ウォン(約5兆6000億円)が流出した。結局、SVBは流動性不足と支払い不能の状態となり、金融当局が翌日閉鎖を決めた。
銀行は顧客の預金引き出しに備え、現金を支払準備金として一定比率保有する。普段はその程度の現金でも十分だが、「信用危機」に直面すると、不安になった顧客が一気に預金を引き出す取り付け騒ぎが発生する。そうなれば、健全な金融機関もあっという間に破綻の危機に追い込まれる。
預金者が銀行窓口に直接行き、銀行の営業時間に預金を引き出さなければならなかった時代には、預金の一斉引き出しにも数日または数週間がかかった。今は預金者がスマートフォンですぐに資金を引き出してしまうので、一日で巨大銀行がつぶれてしまった。取り付け騒ぎを英語で「バンクラン」と言うが、今回のような事態は「静かなバンクラン」「デジタルバンクラン」と呼ばれる。
韓国では2011年の貯蓄銀行問題で、大規模な取り付け騒ぎが起きた。不動産プロジェクト融資の焦げ付きで営業停止になった貯蓄銀行だけでなく、他の貯蓄銀行にまで騒ぎが拡大した。08年の世界的な金融危機も取り付け騒ぎが発端だった。世界4位の投資銀行リーマン・ブラザーズの破産申請が人々の不安感をあおる導火線となり、不安になった預金者が他の金融機関にも詰めかけ、預金を大量に引き出し、大手金融機関が次々と崩壊した。
ソーシャルメディアでうわさや不安感が急速に広がり、「スマホバンクラン」で銀行があっという間に破綻する時代になった。伝統的な預金保護装置を無力化する可能性がある。スマホバンクランは特定金融機関に留まらず、瞬く間に広がり、金融危機に発展する爆発力も大きい。過去最大の取り付け騒ぎが最短時間で発生した。金融市場の不安定性が高まる今、韓国の金融当局も警戒心を持つべきだ。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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