歴史を忘れて保守化する日本現代史を省察する

2023/04/02 06:16

【新刊】與那覇潤著、イ・チュンウォン訳『平成史』(マルコポーロ刊)

 「晴れた空の下、濃い霧が立ち込めていた。これは平成時代の日本社会を振り返るとき、真っ先に思い浮かぶ言葉だ」。本書は平成の天皇の在位期間中、つまり1989年から2019年まで、30年間の日本現代史だ。

 1979年生まれの歴史学者である著者は、当代史に近いであろう本書の時代を、「それすらも遠くなってしまった過去」と表現する。一見すると..

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