▲9日に曹渓寺で行われた出版記念会であいさつする宋永吉・共に民主党元代表。/News 1
韓国野党「共に民主党」元代表の宋永吉(ソン・ヨンギル)氏が今月9日、自身の著書の出版記念会で、韓東勲(ハン・ドンフン)法務部(省に相当)長官について「若造」「生意気なヤツ」と言ったことが波紋を呼んでいる。韓東勲長官は1973年生まれで今年50歳だ。一方の宋元代表は代表的な「86運動圏」(1980年代に大学に通った60年代生まれの左派市民学生運動勢力)の政治家で、学生運動の経歴を土台に30代から国..
続き読む
▲9日に曹渓寺で行われた出版記念会であいさつする宋永吉・共に民主党元代表。/News 1
韓国野党「共に民主党」元代表の宋永吉(ソン・ヨンギル)氏が今月9日、自身の著書の出版記念会で、韓東勲(ハン・ドンフン)法務部(省に相当)長官について「若造」「生意気なヤツ」と言ったことが波紋を呼んでいる。韓東勲長官は1973年生まれで今年50歳だ。一方の宋元代表は代表的な「86運動圏」(1980年代に大学に通った60年代生まれの左派市民学生運動勢力)の政治家で、学生運動の経歴を土台に30代から国会議員や地方自治体の首長を歴任した。数十年間にわたって政治的既得権を享受してきたこの世代に対しては「既得権をさらに延長しようとしている」という批判が起きているが、それが今や「86世代不要論」へと拡大している。
かつて延世大で総学生会長を務めた宋元代表は、30代で国会議員、40代で仁川市長、そして50代では、総選挙で180議席を獲得した第1党の代表となった。2021年の党代表選に出馬した際、宋元代表は出馬宣言文で「老害政治を終わらせるべき」と主張した。
しかし、宋元代表は自身の出版記念会で、50歳の長官の弾劾を主張し「こんな生意気なヤツがどこにいるか。この若造が国会に来て人生の先輩や検察の大先輩をあざけり、見下している。こんなヤツをこのまま好き勝手にさせておいていいのか」と述べた。「水筒を頭に投げ付けてやりたい」とまで言った。
宋元代表は、党代表選挙の際の「現金入り封筒ばらまき事件」を機に民主党を離党しており、来年の総選挙に出馬しない意向も示した。しかし党の内外では、条件さえ整えば年明けにも出馬を強行するのではないかとの見方がでている。「私がやらなければダメだ」という86世代独特の自己中心的思考が依然として染み着いているのだ。
韓長官は11日に文書で「若い時に学生運動をしていたという経験一つで、大して社会に生産的な貢献もせずに、何十年もの間、自分の手でカネを稼ぎながら一生懸命に生きている市民の上で道徳を振りかざした」として「高圧的かつ時代錯誤的な考えで大韓民国の政治を数十年間後退させた」と主張した。韓長官は86世代の特権意識を「運動圏の前官礼遇(官職を務めた人物に、退官後も在任時と同様の待遇をすること)」と表現した。
韓長官に対する宋元代表の「若造」発言について、大企業の部長を務めるイさん(45)は「最近は50歳といえば、企業で役員になってもおかしくない年齢だ」と話した。韓国与党「国民の力」の金宰燮(キム・ジェソプ)党協委員長は「既得権を逃すまいと躍起になっていた独裁政権と今の86世代は何も違わない」と指摘した。野党界隈でも30-40代からは「いつまでやるつもりか」と反発の声が高まっている。
宋元代表は1963年生まれで、81年に延世大経営学科に入学し、84年には同大の総学生会長を務めた。87年に発足した「全国大学生代表者協議会(全大協)」より時期的に少し前に学生運動に参加しており、「86運動圏」の中では最若手の部類に入る。民主党には「86世代」を含め、運動圏出身の議員が70人以上いる。そのため、韓国最強のカルテルは「運動圏カルテル」だとも言われる。
宋元代表は94年に司法試験に合格し、弁護士として活動を始めた。その後、2000年に行われた第16代総選挙で新千年民主党(当時)の公認を受けて仁川・桂陽区から出馬し、当選した。2010年の地方選では仁川広域市長に出馬し、当選。「40代で広域市長になった」ことは今でも自慢の種だ。宋元代表は同じ地方選挙区から国会議員に5回当選し、21年5月には、前年の総選挙で180議席を獲得した執権与党の党代表になった。大統領になること以外、政治家としてできることは全て実現させたといえる。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
Copyright (c) Chosunonline.com