▲文炯培(ムン・ヒョンベ)憲法裁判所長権限代行。1月23日/NEWSIS
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾審判を審理する憲法裁判所の一部裁判官に対し「政治偏向」との指摘が広がっている。政界は、文炯培(ムン・ヒョンベ)憲法裁判所長権限代行が10年以上前にSNS(交流サイト)で野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表と交流した事実をはじめ、家族の政治的傾向まで指摘するなど批判を強めている。法律に詳しい専門家の間からも「公正という外観」を持つべき憲法裁判所が政治..
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▲文炯培(ムン・ヒョンベ)憲法裁判所長権限代行。1月23日/NEWSIS
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾審判を審理する憲法裁判所の一部裁判官に対し「政治偏向」との指摘が広がっている。政界は、文炯培(ムン・ヒョンベ)憲法裁判所長権限代行が10年以上前にSNS(交流サイト)で野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表と交流した事実をはじめ、家族の政治的傾向まで指摘するなど批判を強めている。法律に詳しい専門家の間からも「公正という外観」を持つべき憲法裁判所が政治偏向と批判を受ければ、それだけで弾劾審判の正当性が大きく傷つく恐れがある」など懸念の声が相次いでいる。
【表】尹大統領の弾劾審判を審理する裁判官たちの政治的偏向
この問題は憲法裁判所自ら招いたとの指摘もある。憲法裁判所は今月23日、李真淑(イ・ジンスク)放送通信委員長弾劾案を棄却したが、その際に棄却と認容は4対4に分かれた。これは裁判官らの陣営と政治的な考え方がそのまま反映したためと言われている。進歩(革新)系とされる文炯培権限代行と李美善(イ・ミソン)裁判官や鄭桂先(チョン・ゲソン)裁判官らが李真淑委員長罷免に票を投じたのだ。ある憲法学者は「偏向との批判が相次いでいる理由は、法理ではなく裁判官個人の考えに基づく判決が出たためだ」と指摘する。
尹大統領の弾劾審判で裁判長を務める文炯培権限代行は過去にフェイスブック、ブログ、ツイッターに投稿した内容が問題となっている。文炯培権限代行は2011-13年にSNSで司法研修院同期の李在明(イ・ジェミョン)代表と少なくとも7回、政治的・個人的な懸案を巡りやりとりした事実が知られている。李在明代表は城南市長だった11年7月、文炯培権限代行のフェイスブックに「文官(文炯培判事)様、お元気ですか? 奥さまにもよろしく」とコメントし、これに文炯培権限代行は「市長さま、ご苦労さまです」と返答した。
また判事時代には裁判所の進歩系グループ「ウリ法研究会」で会長を務め、2010年には自らのツイッターに「あえて分類するなら、ウリ法研究会内部で私が最も左側にいるはずです」とツイートした。さらに同年ブログに国連軍参戦兵士墓地(国連記念公園)を訪問したことを伝えた際「戦争という方法で統一を目指した者ら」という言葉を使った。これに対して「国連軍を批判した」との批判が相次いだため、29日にフェイスブックに「原文を読め」という書き込みとブログのリンクを掲載した。
ある法律の専門家は「大法官(最高裁判所判事)や憲法裁判所裁判官はもちろん、一般の判事や研究官らも、誤解を受けるようなことは避けるためSNSの利用は自制している。10年以上前の書き込みではあるが、裁判長がこんなことで話題になれば弾劾審判の信頼性が大きく傷つくだろう」と指摘した。
李美善裁判官は、実妹のイ・サンヒ弁護士が「民主社会のための弁護士の集まり(民弁)」で「尹錫悦退陣特別委員会」の副委員長を務めている事実が問題となっている。この団体は「崔相穆(チェ・サンモク)大統領権限代行による馬恩赫(マ・ウンヒョク)憲法裁判官候補の任命先送りは違憲」として憲法裁判所に訴えを起こした。
ウリ法研究会出身の鄭桂先(チョン・ゲソン)裁判官の夫のファン・ピルギュ弁護士は昨年12月の非常戒厳令直後、尹大統領弾劾を求める時局宣言に参加し、国会側代理人団の共同代表を務めるキム・イス弁護士が理事長を務める公益財団に勤務している。尹大統領の弁護団は「実の弟と夫が弾劾を主張している裁判官は、良心に基づくべき宣告に関与すべきではない」と主張している。尹大統領の弁護団は鄭桂先裁判官の忌避申請を行ったが、翌日棄却された。尹大統領の弁護団は文炯培権限代行と李美善裁判官の忌避申請も検討中だ。
与党からも文炯培権限代行、李美善裁判官、鄭桂先裁判官を弾劾審判から排除すべきとの声が高まっている。与党・国民の力の羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)議員はフェイスブックを通じ「3人の裁判官は尹大統領弾劾事件から手を引き、直ちに回避することが本人にとって最低限の良心を守ることだ」と訴えている。
このような状況で憲法裁判所は「崔相穆権限代行による馬恩赫・憲法裁判官候補の任命保留が違憲かどうかの判断を来月3日に宣告する」と発表し、問題はさらに拡大している。ウリ法研究会に所属する馬恩赫・憲法裁判官候補も盧会燦(ノ・フェチャン)元民主労働党議員に後援金を提供し、6日後には民主労働党関係者に対する公訴棄却判決を下すなど、その政治思想が問題視されている人物だ。
これらの問題に対しある法学専門大学院の教授は「野党が強行した韓悳洙(ハン・ドクス)首相弾劾事件よりも、馬恩赫・憲法裁判官候補任命保留問題を先に処理する理由は全くない」「憲法裁判所自ら公正さを守る努力をしなければ、大統領弾劾審判の決定でも国民の信頼を得るのは難しくなるだろう」と懸念を示した。
パン・ククリョル記者、キム・ナヨン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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