▲「昌原スパイ団事件」と関連し国家保安法違反の疑いが持たれている慶南進歩連合の関係者たちは2023年1月31日、ソウル市瑞草区のソウル中央地方裁判所で開かれた拘束前の被告人尋問(令状実質審査)に出席している。/ニュース1
スパイ事件の裁判遅延はもはやニュースではない。忠北同志会事件と民主労総(全国民主労働総合総連盟)スパイ団事件は、一審だけでそれぞれ2年5カ月、1年6カ月もかかっている。二つとも一審で重刑が宣告されたが、裁判の遅延は深刻さを極めた。被告人たちが国民参加裁判申請、裁判官忌避申請、違憲審判申請など、あらゆる手段を講じて裁判を遅らせたためだ。ほとんどのケースでこのようなことが起こり、今では皆が「今回もそ..
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▲「昌原スパイ団事件」と関連し国家保安法違反の疑いが持たれている慶南進歩連合の関係者たちは2023年1月31日、ソウル市瑞草区のソウル中央地方裁判所で開かれた拘束前の被告人尋問(令状実質審査)に出席している。/ニュース1
スパイ事件の裁判遅延はもはやニュースではない。忠北同志会事件と民主労総(全国民主労働総合総連盟)スパイ団事件は、一審だけでそれぞれ2年5カ月、1年6カ月もかかっている。二つとも一審で重刑が宣告されたが、裁判の遅延は深刻さを極めた。被告人たちが国民参加裁判申請、裁判官忌避申請、違憲審判申請など、あらゆる手段を講じて裁判を遅らせたためだ。ほとんどのケースでこのようなことが起こり、今では皆が「今回もそうだろう」と思うようになっている。
ところが、昌原スパイ団事件はその程度が一線を超えている。起訴されて1年11カ月が過ぎたものの、裁判は2回しか行われておらず、今では中断された状態だ。被告人たちは拘束期間(6カ月)が過ぎ、すでに釈放されている。これでは裁判とは言えない。その過程を見ると、あきれて物も言えなくなる。被告人たちは当初、ソウルではなく昌原で裁判を受けるとして管轄移転を申請したが棄却されると、国民参加裁判を申請した。これが不許可となると抗告・再抗告を繰り返した。最高裁で最終棄却され、5カ月後に裁判が開かれたものの、法の手続きを守らなかったとして裁判長を告発し、裁判官忌避申請を提出。裁判が再び中断してしまったのだ。
その申請も最高裁で棄却され、裁判が再開されたものの、長くは続かなかった。ソウル中央地裁の裁判部が昨年4月、事件を昌原地裁に引き渡すことを決めたためだ。先立ってソウル高裁が、被告人によって出された移転申請は棄却したものの、ソウル中央地裁裁判部が職権で移送を決めたのだ。頭の痛い裁判を押し付けたのではないかと疑わざるを得ない。
これには、それだけの理由がある。ソウル中央地裁は「事件記録が膨大で集中審理が必要だ」という理由で事件を昌原に引き渡した。ある裁判所が特定の事件を集中審理するためには、他の事件を分担する裁判所が多くなければならない。しかし、裁判所が多いソウル中央地裁とは違って、昌原地裁は刑事合議裁判所が2カ所だけだ。集中審理が事実上不可能な裁判所に集中審理するよう引き渡したのだ。そのため、事件を引き継いだ昌原地裁の裁判長も公判準備期日に「集中審理は困難」と言ったという。まるでコメディーのような内容だ。
被告人と弁護人がこのような状況を見逃すはずがない。昌原地裁が公判準備期日に合わせて進めていた昨年10月「国情院収集資料が不法」という自分たちの主張を裁判所が受け入れなかったとし、また裁判官忌避申請を出した。現行法では、裁判遅延の意図が明白な裁判官忌避申請は直ちに棄却し、裁判を進めることができるようになっている。しかし、裁判所がその判断を他の裁判所に引き渡したことで、裁判は再び中断されることとなった。結局、事件移送後の10カ月間、昌原地裁で正式裁判は一度も開かれなかった。
済州スパイ団事件の裁判も起訴されて1年10カ月が過ぎたものの、一切進んでいない。被告人たちは初公判準備期日に国民参加裁判を申請したが、この申請が最高裁で最終棄却されるまで何と7カ月もかかった。被告人たちは裁判を一度も受けずに全員釈放された。昨年1月に開かれた初裁判では25分で無断退廷した。続いて裁判官忌避申請を出したが、先月最高裁で最終棄却されるまで再び6カ月もかかった。このような申請に対する判断は長くかかることがない。ところが、判事たちが時間を掛けることで裁判が遅れるのだ。被告人たちの裁判の翻弄(ほんろう)をまるで裁判官たちが支援しているも同然だ。
スパイ事件の被告人の防御権も保障しなければならない。しかし、昌原や済州スパイ団事件はすでにその線を越えている。両事件の弁論は公安事件の常連弁護士であるチャン・ギョンウク弁護士が主導している。民弁出身の彼は2011年に北朝鮮の指令を受けて活動したスパイ団である「旺載山」事件の弁護を引き受け、中心的証人に黙秘権の行使を促した事実が明らかになったことで物議を醸した人物だ。その弁護士と被告人たちが法手続きを悪用して裁判システムを翻弄しているわけだが、判事たちは無力にも引きずられっ放しだ。何とも無責任なことだ。
崔源奎(チェ・ウォンギュ)論説委員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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