▲写真=UTOIMAGE
【週刊朝鮮】年末間近の昨年12月27日、中国国営の新華社通信や中国中央テレビなどは、中国・上海の滬東中華造船で行われた新型の076型強襲揚陸艦「四川」の進水式を大々的に報じました。満載排水量5万トンで、並みの国の空母よりも大きなこの揚陸艦には、独特の装置が装備されていました。中国の3隻目の空母「福建」が装備している電磁式カタパルト(射出機)1基とアレスティングギア(制動装置)3基が、甲板の一端にあ..
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▲写真=UTOIMAGE
【週刊朝鮮】年末間近の昨年12月27日、中国国営の新華社通信や中国中央テレビなどは、中国・上海の滬東中華造船で行われた新型の076型強襲揚陸艦「四川」の進水式を大々的に報じました。満載排水量5万トンで、並みの国の空母よりも大きなこの揚陸艦には、独特の装置が装備されていました。中国の3隻目の空母「福建」が装備している電磁式カタパルト(射出機)1基とアレスティングギア(制動装置)3基が、甲板の一端にあったのです。
【写真】艦名の由来は台湾の対岸…中国空母「福建」
米国のジェラルド・フォード級原子力空母が初めて装備した電磁式カタパルトは、空母の甲板上の戦闘機が多くの武装と燃料を積んで短い滑走距離で発艦できるように助けてくれる装置です。停止状態の戦闘機を一瞬で時速250キロ以上のスピードに加速し、空へ飛び立てるようにするのです。
中国は電磁式カタパルトを独自開発して3隻目の空母・福建に装備し、その福建は試験航行を進めています。しかし空母よりもサイズの小さい強襲揚陸艦に電磁式カタパルトを装備したのは、世界でも四川が初めてです。
■電磁式カタパルトを装備した大型揚陸艦
中国中央テレビは、四川がカタパルトを装備しており、固定翼戦闘機を射出できると伝えました。しかし四川が装備する電磁式カタパルトの長さは40メートルで、福建の91メートルよりはるかに短く、現実的には中国の空母艦載機J15を飛ばすのは容易ではない、とみられます。もし米国のF35Bのような垂直離着陸(VTOL)機があれば、電磁式カタパルトはそもそも必要ないのです。
こうした疑問への答えは、光明日報や香港の星島日報などを通して出てきました。四川のカタパルトは無人戦闘機を射出するための装置だ-とこれらのメディアは報じました。その上で、四川は世界初の無人機空母だと主張しました。中国が開発して運用中の「攻撃11(GJ11)」無人戦闘機や「CH7」ステルス無人機などを四川の甲板で運用できる、というのです。
強襲揚陸艦は、揚陸作戦を遂行するための戦闘艦です。揚陸作戦に必要な兵力や車両、水陸両用装備などを積み込み、運びます。ヘリコプターや短距離離着陸(STOL)が可能な戦闘機などを搭載し、揚陸作戦に必要な火力支援を行います。
米国は、最新鋭のアメリカ級強襲揚陸艦2隻を保有しています。アメリカ級より1世代前のワスプ級強襲揚陸艦も7隻あります。アメリカ級強襲揚陸艦は全長257メートル、全幅32メートルで、満載排水量は4万5000トンに達する大型艦。F35BやAV8Bハリアー戦闘機、MV22オスプレイVTOL機、AH1Zバイパー攻撃ヘリなど40機ほどを積みます。F35Bは最大20機以上も搭載できるそうです。現在、1番艦「アメリカ」と2番艦「トリポリ」の2隻が存在し、今年中にアメリカ級の3番艦が就役する予定です。
アメリカ級強襲揚陸艦は、揚陸作戦用艦艇ですが、少なからぬ艦載機を搭載し、軽空母の役割も果たします。インド・太平洋地域に配備された米空母機動部隊が中東などに出動して空白が生じた際、アメリカ級揚陸艦が空母の役割を一時的に代行するのです。
■米アメリカ級揚陸艦をベンチマーク
中国が今回進水させた四川は、まさにこのアメリカ級強襲揚陸艦をベンチマーク(他者に学んで改善する手法)した艦です。全長263メートル、全幅43メートルで、サイズは少し大きめ。甲板の右側に二つの管制塔を配置しました。一つは航空、もう一つは航海をコントロールするという形で分離したのが特徴だといいます。
中国は、米国よりも不足している強襲揚陸艦戦力を補完するため、2021年から排水量3万6000トン、各種ヘリおよそ30機を搭載できる075型強襲揚陸艦を就役させています。現在、「海南」など3隻を保有しています。しかし、戦闘機を搭載する米国の強襲揚陸艦に比べ戦力が足りないとみて、今回「無人機空母」の076型強襲揚陸艦を追加で進水させました。
この揚陸艦は23年10月に建造に入り、わずか1年2カ月で進水に至るほどの超短期間で建造が完了しました。中国海軍は、早ければ26年末、遅くとも27年までには試験航海を終え、実戦配備に入るという日程を組んでいます。米国が予想しているように、中国が27年に台湾侵攻に乗り出すとしたら、上陸作戦の責任を負う強襲揚陸艦になることもあり得ます。
中国は昨年末に「世界初の無人機空母」と称して四川進水を派手に宣伝しましたが、専門家の間では懐疑論も持ち上がっています。中国がVTOL機開発において困難に直面する中、「窮余の策」として無人機空母を作ったのではないか…というのです。
中国は昨年11月の珠海エアショーで、3隻目の空母・福建に搭載するステルス戦闘機J35を公開しました。陸上機のJ35Aと艦載機のJ35の二つのモデルを出しましたが、米国のF35BのようなVTOL機は出てきませんでした。VTOLに必要な技術を開発できなかったのです。
四川を無人機空母として建造したのは、VTOL機の代わりに、開発中の無人戦闘機を搭載して米国の強襲揚陸艦に対応しようとする狙いがあるものと分析されています。電磁式カタパルトを設置したのは、無人戦闘機が十分な武器と燃料を積んで発艦できるようにしたい、という意味です。
(後編に続く)
崔有植(チェ・ユシク)記者
チョソン・ドットコム/朝鮮日報日本語版
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