▲写真=UTOIMAGE
■「VTOL機の代わりに無人戦闘機」
中国の国営メディアや香港の星島日報などは、中国が19年の建国70周年軍事パレードで公開したGJ11無人戦闘機が四川に搭載されるであろうことを示唆しました。この無人戦闘機の正確な諸元は公開されていませんが、中国国内では「速度は最高でマッハ0.95、航続距離は4000キロに達する」という主張が出ています。米国が開発中の「XQ58Aバルキリー」無人戦闘機のように、人..
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▲写真=UTOIMAGE
■「VTOL機の代わりに無人戦闘機」
中国の国営メディアや香港の星島日報などは、中国が19年の建国70周年軍事パレードで公開したGJ11無人戦闘機が四川に搭載されるであろうことを示唆しました。この無人戦闘機の正確な諸元は公開されていませんが、中国国内では「速度は最高でマッハ0.95、航続距離は4000キロに達する」という主張が出ています。米国が開発中の「XQ58Aバルキリー」無人戦闘機のように、人工知能(AI)パイロットが戦闘機を操ることを目標に開発中だそうです。
【写真】中国の無人偵察機「WZ7」
中国の軍事評論家・宋忠平氏は、米国のラジオ放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」とのインタビューで、VTOL技術開発の難しさを認めました。彼は「VTOL戦闘機の開発に足を取られることなく、そもそも迂回(うかい)して先回りするために電磁式カタパルトを持つ四川を開発した」とし「カタパルトを使用すれば、固定翼無人機の搭載重量を増やし、作戦半径を広げることができる」と語りました。
これについて、台湾・淡江大学整合戦略与科技研究中心(CAT)のヤン・タイウィアン研究員は「米国と日本はいずれも強襲揚陸艦に戦闘機を配備し、空母に準ずる運用をしている」としつつ「短期間でVTOL技術を確保するのは難しいので、ヘリコプターと無人機などを配備するというものだが、他国を追い越したとは見なし難い」と指摘しました。米国のアメリカ級強襲揚陸艦をまねて四川を作りはしたものの、VTOL機を確保できていないので無人機空母だと言い逃れをしている、というわけです。
米国は2隻のアメリカ級強襲揚陸艦を保有していますが、このうち1番艦のアメリカ(LHA6)は日本に配備されています。有事の際にはF35B戦闘機20機以上を搭載し、事実上の空母としての役割を果たします。また、もう1隻のトリポリはサンディエゴ海軍基地におり、随時、必要な地域に移動配備されます。3番艦の「ブーゲンビル」は今年中に就役する予定です。
アメリカ級より1世代前のワスプ級強襲揚陸艦は、計7隻あります。満載排水量4万1150トンのワスプ級揚陸艦は、もともとはハリアー戦闘機を搭載していましたが、今ではF35Bの搭載が可能なように性能改善が施されたといい、10機以上のF35Bを搭載します。ワスプ級強襲揚陸艦も、必要に応じて随時、北東アジア地域に配備されます。昨年、イランがイスラエルを攻撃する可能性に備えて北東アジア地域にいた米空母が中東地域に急派されると、ワスプ級強襲揚陸艦「ボクサー」が西太平洋に入り、空母の役割を代行したことがあります。
VTOL機のF35Bの武装搭載量は6.8トンで、陸上運用のF35A、空母艦載機のF35Cよりも2-3トン少ないそうです。米国は、開発中のバルキリー無人戦闘機が実戦配備されれば、バルキリーがF35Bの武装搭載量の不足分を補完できるとみています。
■トランプ就任を前に急いだ進水
中国が、VTOL機の技術を確保できていない状況で昨年末に大急ぎで5万トン級の大型強襲揚陸艦を進水させたのには、わけがある―という分析が登場しています。過去2年間の軍部の腐敗でごちゃごちゃとした内部の雰囲気を引き締めるため、という目的がその一つです。腐敗問題を解決し、再び軍事力現代化に乗り出すというわけです。ドナルド・トランプ大統領の就任を前に、中国の強大な造船能力と海軍力を誇示したい、という意図もあるとみられています。ヤン・タイウィアン研究員は「トランプ大統領就任前に重い一発を放つもの」と評しました。
076型強襲揚陸艦は台湾侵攻時に上陸作戦を担当するだけに、最も緊張したのは台湾です。台湾は、中国が既存の075型強襲揚陸艦4隻に076型4隻を加え、計8隻の揚陸艦体制を構築するだろうと予想しています。
国防安全研究院は、台湾侵攻時に中国は075型と076型強襲揚陸艦をペアにして上陸作戦に乗り出すだろうとみています。076型揚陸艦に搭載した無人機は上陸地点一帯の制空権を掌握し、台湾の空軍基地やレーダー施設、防空砲台などを攻撃し、両揚陸艦に積んでいる攻撃用ヘリは台湾沿岸の防御兵力を除去する、というスタイルで役割を分担するというわけです。
ただし台湾は、076型強襲揚陸艦がきちんとした戦闘力を備え得るかどうかについては、疑念を持っています。台湾国防部(省に相当)傘下のシンクタンク、国防安全研究院は、今年1月8日に発表した『2024中国軍発展評価報告』において「076型強襲揚陸艦が電磁式カタパルトを装備し、作戦半径の広い固定翼戦闘機を積むことができるようになったという点で、脅威は強まった」としつつも「甲板の着艦区域と発艦区域が重なっていて発着艦の効率は低く、アレスティングギアの安全性も空母には及ばず、実際の作戦能力がどれくらいであるかについては注視すべき」と記しました。
076型強襲揚陸艦が事実上、無人戦闘機を搭載する無人機空母の役割を果たすようになるのであれば、無人機の攻撃に備えて電子戦能力を強化しなけれならない、という主張も出ました。国防安全研究院傘下の国防戦略与資源研究所に所属する江炘杓・助理研究員は「無人機が空中戦の優先を確保しようと思ったら、電子戦攻撃から完全に自由であらねばならない」とし「強力な防空システムと電子戦環境に直面したら、無人機の優位は制限されるほかない」と指摘した上で「台湾軍は電子戦能力を強化し、周到綿密な電子戦計画を樹立すべき」と語りました。
崔有植(チェ・ユシク)記者
チョソン・ドットコム/朝鮮日報日本語版
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