▲グラフィック=金炫国(キム・ヒョングク)
米国のトランプ大統領は8日に行われた韓国の韓悳洙(ハン・ドクス)大統領権限代行国務総理との電話会談で「ワンストップ・ショッピングは美しく効率的」として両国の貿易、関税、在韓米軍の防衛費分担金などをまとめて解決する考えを明らかにした。これにより韓国政府が昨年、当時のバイデン政権と合意した防衛費分担特別協定(SMA)は6カ月もたたない状態で再交渉が避けられなくなった。トランプ大統領による一方的な25..
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▲グラフィック=金炫国(キム・ヒョングク)
米国のトランプ大統領は8日に行われた韓国の韓悳洙(ハン・ドクス)大統領権限代行国務総理との電話会談で「ワンストップ・ショッピングは美しく効率的」として両国の貿易、関税、在韓米軍の防衛費分担金などをまとめて解決する考えを明らかにした。これにより韓国政府が昨年、当時のバイデン政権と合意した防衛費分担特別協定(SMA)は6カ月もたたない状態で再交渉が避けられなくなった。トランプ大統領による一方的な25%関税で韓米自由貿易協定(FTA)が実質的に有名無実化したのと同じく、現行のSMAも破棄に向けた手続きに入った形だ。
専門家の見方はどれも「今回SMA交渉が再開された場合、以前のように分担金の引き上げ幅など細かい内容の交渉ではなく、与えるべきは一気に与え、受け取るものは確実に手にする『ウィンウィン(双方に都合が良いこと)戦略』のアプローチが必要」との点で一致している。就任直後から経済的な成果を誇示するトランプ大統領のメンツを立てながら、戦略的な次元で韓米同盟を強化し、国としての実利も同時に確保すべきという考え方だ。
第1次トランプ政権当時、交渉を担当したユン・ガンヒョン元韓国外交部(省に相当)経済外交調整官は「部門ごとにアプローチするよりも、首脳レベルで取引可能なあらゆるカードを全てテーブルに乗せる『トップダウン式』を通じ、与えるものは与え、受け取るものは受け取る大胆な決定を下すやり方がトランプ大統領には有効だろう」との見方を示した。
韓国政府の目標は現行の韓米自由貿易協定(FTA)を最大限「死守」することだ。韓国産業通商資源部(省に相当、以下同じ)の安徳根(アン・ドククン)長官は9日の国会産業通商資源中小ベンチャー企業委員会で「交渉を通じて韓米自由貿易協定(FTA)は維持すべきだ」と証言した。
トランプ大統領が「ワンストップ・ショッピング」に言及したことを受け、専門家は「防衛費問題を関税や貿易など別の事案と共に総合的に検討する必要がある」と指摘する。「防衛費の全額負担」というカードもこの流れの中で出てきたものだ。
柳明桓(ユ・ミョンファン)元韓国外交部長官は「トランプ大統領は在韓米軍駐留経費の5倍以上を要求したこともあったが、彼が望むことは金よりも自らのメンツを立てることだ」「韓国が在韓米軍駐留経費の40−50%ではなく100%負担し、米国の拡張抑止(核の傘)戦略などと関連づけて実利を手にする方法も代案になり得るだろう」と提案した。トランプ大統領がこのような形の交渉妥結をモデルケースとして利用できる形とし、NATO(北大西洋条約機構)など他国に防衛費分担金をさらに要求する大義名分を与えると同時に、核の傘強化など逆の見返りを手にする戦略だ。
宋旻淳(ソン・ミンスン)元韓国外交部長官は「トランプ大統領がチェスを持ってくれば、こちらは将棋を持っていき実利を手にすべきだ」「分担金を全額韓国が負担し、韓米原子力協定を改正して少なくとも日本のようにウラン濃縮ができるようにしなければならない」と語る。現在韓国はウラン濃縮では20%未満の場合のみ米国との協議を経て可能になるが、これを米日原子力協定と同じく20%以上の濃縮も可能にすべきというのだ。
峨山政策研究院の崔剛(チェ・ガン)院長は「第2次トランプ政権では在韓米軍を中国けん制用に見直すべきとの声が公然と語られている」「今回のパッケージ交渉を通じて与えるべきは与えたとしても、在韓米軍の存在理由が韓国防衛にある点は確実にくぎを刺すべきだ」と主張する。崔剛院長は「第2次トランプ政権との最初の交渉で防衛費の額だけに重点を置いてしまうと、大きな絵を描けなくなる」「単純な技術面での問題でアプローチするのではなく、東北アジアでの韓米同盟強化に焦点を合わせねばならない」とも指摘した。
ユン・ガンヒョン元調整官は「各部処(省庁)が各個撃破式に対米交渉を進めれば、トランプ政権が百戦百勝になるだろう」とした上で「第1次トランプ政権の時も韓国政府は防衛費をはじめ、米国によるイラン制裁免除問題などとも関連づけて米国の各担当省庁と合意の枠をつくったが、トランプ大統領が最後にこれらを揺るがし当惑した」と警告した。
米国のベッセント財務長官はCNBCテレビとのインタビューで「トランプ大統領は関税交渉などには直接関与するだろう」と発言した。米ホワイトハウスのレビット報道官も同じ日に「海外に駐留する米軍と海外援助は貿易交渉の一部になることもある」「トランプ大統領は交渉で各国の事情に合わせてアプローチを行うだろう」と述べた。
韓米両国は昨年10月、2026年からの5年間に韓国が負担する在韓米軍防衛費分担金交渉で妥結に至った。合計8回の交渉の末に26年の分担金総額は25年比8.3%増の1兆5192億ウォン(約1500億円)に決まった。これは韓国の国内総生産(GDP)の約0.06%に相当する。当時の韓国政府関係者は「分担金は米軍の人件費を除く在韓米軍駐留経費総額の約40%に相当する」と説明したが、計算方式を見直せば50%を上回るとの見方もある。ちなみに日本は70%ほどだという。
李河遠(イ・ハウォン)記者、盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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