▲グラフィック=イ・ジンヨン
米国政府は21日(現地時間)にイラン国内の核施設3カ所を空爆したが、北朝鮮の核開発に対しては交渉など外交的な手段で解決する方針を今も維持している。現時点で核兵器を保有していないイランとは違い、北朝鮮は6回の核実験を経てすでに20基から最大50基の核弾頭を保有しているとみられる。軍事的な手段で完全に除去できる時期を逃したのだ。韓国政府は北朝鮮の非核化原則を以前から堅持してきたが、政権によって北朝鮮..
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▲グラフィック=イ・ジンヨン
米国政府は21日(現地時間)にイラン国内の核施設3カ所を空爆したが、北朝鮮の核開発に対しては交渉など外交的な手段で解決する方針を今も維持している。現時点で核兵器を保有していないイランとは違い、北朝鮮は6回の核実験を経てすでに20基から最大50基の核弾頭を保有しているとみられる。軍事的な手段で完全に除去できる時期を逃したのだ。韓国政府は北朝鮮の非核化原則を以前から堅持してきたが、政権によって北朝鮮への対応はかなりの違いがあるため、北朝鮮の核問題が米国の政策の優先順位でも後回しにされたと専門家は指摘している。
【グラフィック】米国によるイラン核施設の空爆
米国による今回のイラン空爆は「イランの核開発はいかなる代償を払っても阻止する」という米国の強い意志を示すものだ。一部ではトランプ政権が北朝鮮の核問題でも寧辺や降仙など主要な核施設を攻撃する可能性も指摘されている。寧辺には5メガワット級原子炉をはじめさまざまな核燃料製造施設が集中しており、平壌郊外の山間部地下にある降仙核施設には高濃縮ウラン(HEU)製造施設が存在するとみられる。米国が空爆したイラン核施設のうちフォルドの地下施設と非常によく似ている。
しかし専門家は、現時点で米国がイランのように北朝鮮の核施設を先制攻撃する可能性は低いとみている。申範澈(シン・ボムチョル)元韓国国防部(省に相当、以下同じ)次官は「北朝鮮は先制攻撃を受けた場合、短距離弾道ミサイル(SRBM)や中距離弾道ミサイル(MRBM)など複数の核攻撃手段で韓国、日本、さらには米国領グアムなどに核兵器で報復するだろう」と予想している。北朝鮮は第1次トランプ政権当時、米本土を射程圏内とする大陸間弾道ミサイル(ICBM)に核弾頭を搭載し、発射する可能性にも言及してきた。北朝鮮の核施設は平壌や中国とも近いため、攻撃を受ければ放射能など核関連物質が拡散し多くの人命被害が発生する可能性も考えられる。
1993年に北朝鮮が核拡散防止条約(NPT)を脱退して始まった第1次北朝鮮核危機当時、米国のクリントン政権(当時)はステルス爆撃機や巡航ミサイルのトマホークなどで北朝鮮の核施設をピンポイント攻撃する計画を検討した。これは韓国政府の反対で撤回されたが、それだけ米国国内では当時から北朝鮮の核問題解決への意志が強かった。その後韓国では政権が変わるたびに対北朝鮮政策が強硬と融和で揺れ動き、これが韓米関係にも影響した。李容濬(イ・ヨンジュン)元外交部北核大使は「1990-2000年代の初めまで米国は民主党・共和党に関係なく北朝鮮の核問題解決に前向きだった。しかし北朝鮮が2006年に1回目の核実験を行い、2017年に6回目の核実験を行ったことで核兵器を大量生産できる段階に事実上至ったため、米国の対北朝鮮政策は『現状維持』に変更された」と説明した。
米国の対イラン政策も政府が共和党か民主党かによって「圧力」と「交渉」で揺れ動いたが、中東の主要国が「イランの完全な非核化」を求めたため、米国は政策の一貫性を維持し方針が定まったとの見方もある。特にイスラエルは米国国内の反対にもかかわらず、イランの核開発阻止に向け軍事的な手段もためらわなかったため、米国を引き込むことに成功したようだ。西江大学のソン・イルグァン教授は「米国によるイラン空爆はイスラエルの強硬策から影響を受けたようだ」「イスラエルが積極的に動いていなければ、米国も空爆まではできなかっただろう」との見方を示した。イランの核開発を容認した場合、中東での核拡散ドミノを防ぐのが難しくなる点も考慮された。
中国とロシアが北朝鮮の「後見人」となっている点も北朝鮮の核問題解決を難しくしているようだ。米国による今回のイラン核施設攻撃に対してトルコやサウジアラビアなど中東の主要国は反発していない。これに対して中国は北朝鮮の非核化には賛成しているが、その一方で北朝鮮制裁については緩和を主張している。ウクライナを攻撃したロシアは北朝鮮から兵士や武器の支援を受けるなど、準同盟の関係を築いている。
金聖翰(キム・ソンファン)元国家安保室長は「北朝鮮の金正恩総書記は米国によるイラン空爆を鋭意注視し、米国への対応戦略を検討しているはずだ」「北朝鮮はすぐに米国と交渉するよりも、ロシアや中国との連携を深め核兵器やICBMなど核攻撃手段の高度化に力を入れる可能性が高い」と予想している。
盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者、ワシントン=朴国熙(パク・ククヒ)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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