▲2023年にリトアニアのビリニュスで開かれたNATOサミットで、NATOパートナー国「インド・太平洋4カ国(IP4)」の一員として、当時の尹錫悦・韓国大統領(左から2人目)、アンソニー・アルバニージー豪首相(左端)、岸田文雄首相(左から3人目)、クリス・ヒプキンス・ニュージーランド首相が手をつないで記念撮影をしている様子。/写真=聯合ニュース
韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が24日・25日にオランダのハーグで開かれるNATO(北大西洋条約機構)首脳会議への不参加を決定したことが判明する中、本紙が22日にワシントンで接触した米国の朝野の外交・安全保障専門家らは「予想できなかったことではないので驚いてはいないが、失望させられる決定」だと述べた。混乱している国際情勢の中で国際社会は「NATOの瞬間が来た」(フィナンシャル・タイムズ紙)..
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▲2023年にリトアニアのビリニュスで開かれたNATOサミットで、NATOパートナー国「インド・太平洋4カ国(IP4)」の一員として、当時の尹錫悦・韓国大統領(左から2人目)、アンソニー・アルバニージー豪首相(左端)、岸田文雄首相(左から3人目)、クリス・ヒプキンス・ニュージーランド首相が手をつないで記念撮影をしている様子。/写真=聯合ニュース
韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が24日・25日にオランダのハーグで開かれるNATO(北大西洋条約機構)首脳会議への不参加を決定したことが判明する中、本紙が22日にワシントンで接触した米国の朝野の外交・安全保障専門家らは「予想できなかったことではないので驚いてはいないが、失望させられる決定」だと述べた。混乱している国際情勢の中で国際社会は「NATOの瞬間が来た」(フィナンシャル・タイムズ紙)と、今回の会議に注目しているのに、韓国は不参加という悪手を打ったのだ。専門家らは、トランプ大統領がNATO加盟国に対して国内総生産(GDP)の5%を防衛分野の支出に費やすよう迫り、21日の米国のイラン核施設攻撃にまで至った状況が、李在明政権にとってプレッシャーになったのだろうと口をそろえた。その上で「相互関税交渉の期限(7月8日)は近づいているのに、韓米首脳の初対面となるべき二者会談が遅れ続けるのは懸念すべきシグナル」と指摘した。
韓国は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権時代の2022年のスペインNATOサミット時に、いわゆる「インド・太平洋4カ国(IP4)」の一員として招待を受け、大統領が3年連続で出席した。IP4に属する日本・オーストラリア・ニュージーランドの3カ国は、国際社会において韓国と立場を同じくする代表的な国々で、ウクライナ戦争、北朝鮮とロシアの密着などを契機としてここ数年は各界・各級で協力が活発に行われていた。戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ韓国部長は「IP4は世界的な混乱、欧州と中東で起きている三つの戦争、中国・ロシア・イラン・北朝鮮の協力強化という時期に形成された臨時連合(adhoc coalitions)の好例」だとしつつも「韓国がNATOサミットに参加しないと決めたことは失望させられる。NATOが中国に対して強硬な発言をすると予想される状況で、(李在明政権内の)進歩勢力が訪問取り消しを強く押し付けたのだろうと思う」と語った。
米国は中国けん制のために複数の小規模な多国間協議体を運営しつつ「別々に、また一緒に」これらの協議体間の有機的な連携を追求している。そうした中で、韓国は「キャンプ・デービッド合意」に代表される韓米日協力を除くとQUAD・AUKUSなどどの安全保障同盟にも属した状態ではない―とチャ部長は指摘した。このため中国は、米国の対中けん制戦線において韓国を「最も弱い輪」として認識してきた。これは、日本がQUADの一員であり、かつ最近は南シナ海・東シナ海・台湾海峡などで中国の「力と強圧による現状変更」の試みを防ぐため米・比との3カ国協力に力を入れているのとは対照的だ。韓米連合司令部作戦参謀出身の、アジア太平洋戦略センター(CAPS)の副会長を務めるデビッド・マックスウェル元陸軍大佐は「参加しないのは重大な戦略的ミス」だとし「民主主義の武器庫としての役割を続けるのか、規則に基づいた国際秩序を守るのか、自由で開かれたインド・太平洋(FOIP)への支持から後退するのか、といった質問を提起する」と語った。
ブルッキングス研究所のアンドルー・ヨー・シニアフェローは「NATOに対するトランプ大統領の低い評価、ウクライナの未来(支援するかどうかなど)を巡る意見の違いなどがNATOとIP4の協力水準に影響を及ぼしている」とし「(欧州とインド・太平洋地域間の)安全保障協力が鈍っており、トランプ政権の外交政策による不確実性が増大しつつある状況で、韓国は同盟との協力・情報共有を加速化すべきというのが個人的な考え」と語った。マックスウェル副会長は、NATO加盟国の大部分が有事の際の韓国防衛に決定的な役割を果たす国連軍司令部構成国であることにも言及しつつ「戦略的不確実性が、究極的には韓国の安全保障をも脅かしかねない」と述べた。米情報当局の北朝鮮アナリストを務めた経歴を持つシドニー・サイラーCSISシニアアドバイザーも「韓国がNATOサミットに出席することは、国際舞台においてより大きな役割を遂行し、特に国連軍司令部構成国を含む欧州からより大きな防衛の約束を受ける機会と考えられてきた」としつつ「グローバルな議題や影響力を拡大しようとする努力のプライオリティー(優先順位)を下げた、というシグナルとして解釈されかねない」と指摘した。韓国政府の安全保障のトップを務める魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長は尹錫悦政権の「グローバル中枢国家(GPS)」構想に批判的で、李大統領もまた尹錫悦政権で政府開発援助(ODA)予算が大幅に増えたことについて否定的な認識を披歴したことがある。
ブッシュ政権でホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)補佐官を務めた、オーストラリア・シドニー大学合衆国学センターのマイケル・グリーン所長(CEO=最高経営責任者)は「新政権においてまだ準備が整っていない状況だということもあり得る」としつつ「韓国を民主陣営から外れさせて非同盟国家(non-aligned country)のように行動させようとする、李大統領の取り巻きグループの一部の声が反映されたのかもしれないという点が懸念される」と語った。ハドソン研究所のパトリック・クローニン・アジア太平洋安全保障部長は「トランプ大統領がNATOに対して条件付き支持だけを行い、ハーグ滞在は短時間にしようとしている事実が、李大統領にも訪問取り消しをさせることとなった」「それでも李大統領は、IP4とNATOの協力を進展させるイニシアチブを通して『ソウル(韓国)は積極的に参加するつもりだ』というシグナルを送るべき」と述べた。
韓半島の専門家らの間からは、16日・17日にカナダで行われた先進7カ国(G7)首脳会議で李大統領とトランプ大統領の会談が不発になったのに続き、今回も初顔合わせが実現しなかったことを懸念する声も上がった。チャ部長は「私が理解するところでは、欧州現地で2者会談を準備するプロセスは深く進んでいた」「自動車の輸出が前年比で20%も落ちており、関税交渉のためのトランプ大統領との会談は、現在の韓国にとって最も重要な優先事項。交渉締め切りの期限が迫っているにもかかわらず、この問題は解決しなかった」と語った、こうした中、22日に米国入りした産業通商資源部(省に相当)の新任の呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長は、トランプ大統領が国別に設定した相互関税の猶予期間が延長される可能性について「予断は困難」としつつ「私も23日に初めて閣僚級ミーティングをするので、あらゆる可能性を開いておいている」と語った。
ワシントン=金隠仲(キム・ウンジュン)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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