▲29日未明、ソウル市瑞草区のソウル高等検察庁庁舎に設けられた内乱特検事務室で、被疑者としての取り調べを終えた後、帰宅した尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領。写真=ナム・ガンホ記者
28日、内乱特別検察官(以下、特検)の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領に対する初の召喚・取り調べを皮切りに、尹前大統領夫妻を対象とする3大特検(内乱特検、金建希〈キム・ゴンヒ〉特検、海兵隊員特検)捜査が本格化している。検事が最多で120人動員される3大特検は、今後最長で150日間の捜査が可能だ。法曹界では「尹前大統領夫妻と前政権の中核的人物をターゲットとする大々的な特検捜査が行われ、李在明(イ..
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▲29日未明、ソウル市瑞草区のソウル高等検察庁庁舎に設けられた内乱特検事務室で、被疑者としての取り調べを終えた後、帰宅した尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領。写真=ナム・ガンホ記者
28日、内乱特別検察官(以下、特検)の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領に対する初の召喚・取り調べを皮切りに、尹前大統領夫妻を対象とする3大特検(内乱特検、金建希〈キム・ゴンヒ〉特検、海兵隊員特検)捜査が本格化している。検事が最多で120人動員される3大特検は、今後最長で150日間の捜査が可能だ。法曹界では「尹前大統領夫妻と前政権の中核的人物をターゲットとする大々的な特検捜査が行われ、李在明(イ・ジェミョン)政権は事実上の『積弊清算(過去の政権の不正腐敗批判)シーズン2』に入り、国政運営の動力を握ることになるだろう」という見方が出ている。年末まで、尹錫悦政権の核心部に狙いを定めた捜査により追及が続けば、野党となった国民の力は追い詰められる可能性があるということだ。
【表】尹前大統領夫妻に狙い定める3大捜査
■尹前大統領、法的防御と政治的闘争を並行
尹前大統領は28日、ソウル市瑞草区のソウル高等検察庁庁舎取り調べ室で約5時間にわたって特検の取り調べを受け、特検側の尋問に積極的に供述したという。尹前大統領側の宋振昊(ソン・ジンホ)弁護士は「(昨年12月3日の非常戒厳宣布前後の)国務会議(閣議)に関する内容は裁判を受けている最中だが、全て誠実に答えた」と語った。今年1月に高位公職者犯罪捜査処(公捜処)に逮捕された時とは違い、供述を拒否したり、回避したりはしなかったということだ。
ただ、尹前大統領はこの日、特検に出頭する時や取り調べを終えて帰宅する時、報道陣の質問には何も答えなかった。かつて朴槿恵(パク・クンヘ)元大統領や李明博(イ・ミョンバク)元大統領が検察の取り調べを受けるため出頭した際、「申し訳ない」などとコメントしたのとは違っていた。尹前大統領は29日午前1時ごろ、取り調べを終えてソウル高検庁舎を出る際、車のウインドーを下ろして支持者数百人に向かって手を振った。支持者たちは「大統領を守ります」と叫んだ。
法曹界関係者の間からは「積弊清算捜査をした経験がある尹前大統領が、法的防御と政治的闘争を並行させようとしているもの」との分析が出ている。尹前大統領は「公に謝罪した瞬間、主導権を奪われかねない」と考えているようだという意味だ。国民の力のある関係者は「尹前大統領は『政治報復を受けている』と支持者に訴えることで、特検の攻勢を防御する力を得ようとしているようだ」と言った。
これに対して特検は「劇場式捜査」を通じて尹前大統領に圧力を加えようとしているとの見方がある。尹前大統領は「被疑者の人権」を掲げ、非公開出頭にするよう求めた。しかし、特検は「国民の知る権利」などを強調し、公開出頭を貫いた。特検はまた、尹前大統領が取り調べを受けている間、記者会見を随時開き、捜査の進行状況などを報道機関に知らせた。 ある現職部長検事は「(内乱特検捜査を担当する)チョ・ウンソク特検は捜査状況を公開することにより世論を有利な方向へ導いていこうとしているようだ」と語った。
チョ・ウンソク特検が捜査開始と同時に尹前大統領を召喚したのも、関連者捜査を終えて核心被疑者を召喚する通常の捜査方式とは異なる。これについて法曹界関係者は「特検の前政権および国民の力関連人事召喚が早まったり、全方位に広がったりする可能性がある」と話した。 国民の力など政界からも「数百人が拘束された文在寅(ムン・ジェイン)政権の積弊清算の時より多くの人が拘束されたり起訴されたりする可能性が高い」という話が出ている。
■金建希特検・海兵特検も近く捜査開始
金建希特検・海兵隊員特検も7月2日にそれぞれ開設式を開き、尹前大統領夫妻を対象に捜査を開始する。金建希特検チームは「ドイツ・モータース株価操作」「政治ブローカー、明泰均 (ミョン・テギュン)氏による党公認候補介入疑惑や、「コンジン法師」ことチョン・ソンベ氏による国政介入疑惑など、金建希夫人を巡る16の疑惑を捜査する。海兵特検チームは、尹前大統領が海兵隊捜査団のチェ上等兵殉職事件の捜査で外圧を行使したのか、金建希夫人らを通じた救命ロビー活動があったかどうかなど、八つの疑惑を捜査対象としている。
政界では特に、金建希夫人の捜査過程で今まで知られていなかった疑惑がさらに広がる可能性も取り沙汰萎縮されている。国民の力の関係者は「朴槿恵政権の国政介入特検捜査時、確認されていない複数の醜聞やデマがそのまま取り上げられ、国民の力陣営が打撃を受けたが、そうした状況が再現される可能性がある」と話した。国民の力では、李在明政権が今後の特検捜査で浮上する複数の問題を国政運営の動力として利用しようとしていると疑っている。 前政権の国務委員(閣僚)や国民の力の主要人物などが特検の取り調べを受けて減れば、国民の力は政治的に萎縮せざるを得ないということだ。
韓国外国語大学の李昌玄(イ・チャンヒョン)教授は「金建希夫人のために前政権の国政運営が歪曲(わいきょく)されたという疑惑が特検捜査を通じて浮上すれば、積弊清算を求める国民要求が強まり、現政権が国政主導権を握ることができるようになるだろう」と語った。
パン・グクリョル記者、ユ・ヒゴン記者、キム・ヘミン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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