中国・杭州を根拠地として、数年間にわたり韓国国民をターゲットにボイスフィッシング詐欺を重ねてきた犯罪組織のメンバー4人が昨年8月、韓国に送還された。4人は2017年からボイスフィッシング組織を運営し、韓国国民約1900人から1511億ウォン(約161億円)を詐取したとして起訴された。 検事を詐称し、本物そっくりの「偽造公務員証」を示して被害者をだました。被害者の中には12回にわたり41億ウォンを..
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中国・杭州を根拠地として、数年間にわたり韓国国民をターゲットにボイスフィッシング詐欺を重ねてきた犯罪組織のメンバー4人が昨年8月、韓国に送還された。4人は2017年からボイスフィッシング組織を運営し、韓国国民約1900人から1511億ウォン(約161億円)を詐取したとして起訴された。 検事を詐称し、本物そっくりの「偽造公務員証」を示して被害者をだました。被害者の中には12回にわたり41億ウォンをだまし取られた医師もいた。全財産を失った被害者の中には自ら命を絶った人もいたという。メンバー全体96人のうち74人がこれまでに国内外で検挙され、警察の捜査を受けているか、起訴されている。残る22人は依然として国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配されている。
【写真】対応に追われるボイスフィッシング詐欺対応センター職員たち
不況知らずで猛威を振るってきたボイスフィッシング犯罪が人工知能(AI)など先端技術と融合し、被害が雪だるま式に増えている。不特定多数に任意に電話をかけて詐欺を試みた過去とは異なり、最近ではインターネット上で個人情報を入手した状態で犯行に及ぶ「オーダーメード型詐欺」が増えているからだ。ソーシャルメディアなどで入手した写真や映像を使って、映像と声を偽造するディープフェイク、ディープボイスの技術まで登場し、家族もまんまとだまされるレベルにまで犯罪が進化した。韓国警察庁は15日、今年上半期(1~6月)のボイスフィッシング被害額は6421億ウォンだったと発表した。上半期としては過去最高額だ。今年のボイスフィッシング被害額は初めて1兆ウォンを超えるとみられている。
これまでボイスフィッシングは金融・技術犯罪に弱い50代から70代の中高年層が被害に遭うという認識が強かった。他人名義を盗用したスマートフォンや預金口座などの犯行手段さえきちんと取り締まれば抑止できる犯罪だと思われていた。しかし、犯罪組織の規模が巨大化し、手口も高度化したことで、ボイスフィッシング犯罪は年代を問わず、誰でも被害を受けかねないレベルへと進化した。警察関係者は「ボイスフィッシング詐欺の捜査は矛と盾の戦いだ。最近はボイスフィッシング組織がカンボジアなど海外を根拠地にするケースが多く、検挙が難しいだけでなく、取り締まりをすり抜ける方法も発達しており、抑止は容易ではない」と話した。
警察庁国家捜査本部は同日、ボイスフィッシング詐欺を含む不特定多数への詐欺犯罪を専門的に捜査するタスクフォース(TF)を発足させた。警察は関連捜査チームを立ち上げ、国際協力を強化するなど、検挙率の向上策をまとめる計画だ。
安相炫(アン・サンヒョン)記者、イ・ギウ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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