▲朴槿恵大統領の中国戦勝節出席を報じた「朝鮮日報」2015年9月4日付1面トップ記事
中国政府が、今年9月3日に北京で開く戦勝節80周年軍事パレードに韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領を招待し、「戦勝節外交」を巡る論争が再び起こりつつあります。李在明大統領と米国のトランプ大統領の初の首脳会談がいつ実現するのか不透明な状態で、大統領室は「出席するかどうかに関して中国とコミュニケーションを取っている」と明かし、微妙な雰囲気をつくりました。「コミュニケーションを取っている」とは「出席..
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▲朴槿恵大統領の中国戦勝節出席を報じた「朝鮮日報」2015年9月4日付1面トップ記事
中国政府が、今年9月3日に北京で開く戦勝節80周年軍事パレードに韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領を招待し、「戦勝節外交」を巡る論争が再び起こりつつあります。李在明大統領と米国のトランプ大統領の初の首脳会談がいつ実現するのか不透明な状態で、大統領室は「出席するかどうかに関して中国とコミュニケーションを取っている」と明かし、微妙な雰囲気をつくりました。「コミュニケーションを取っている」とは「出席することもあり得る」ということだと解釈され、主要日刊紙が一斉に「戦勝節出席には慎重であるべきだ」とする社説を載せました。
【写真】2013年6月 国賓訪中した朴槿恵大統領(当時)
私は最近、あるメディアが戦勝節出席問題を提起した時点では、これを深刻には考えませんでした。魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長が「朴槿恵(パク・クンヘ)、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の中国訪問にもかかわらず2014年以降訪韓していない習近平主席が、慶州APEC(アジア太平洋経済協力)会議を契機としてまず韓国に来るべき」という論理でこの問題をかわしていくだろう、と予想していました。魏室長は朴大統領の2015年中国戦勝節出席を批判したこともあったので、なおのことそう思いました。ところが、大統領室がこれについてあいまいな態度を取ったことに伴い、李在明政権の序盤で外交の足取りがもつれる可能性も語られています
李大統領が中国の戦勝節に出席するかどうかは、今後の韓中関係はもちろん韓米関係、北東アジア情勢にも少なからぬ影響を及ぼしかねず、10年前に何があったか振り返ることが必要に思えます。朴大統領の中国戦勝節記念式典出席後、韓中関係はまるでローラーコースターのように激しく動いたと言えます。
■朴槿恵大統領、「統一大当たり」への中国の支持を希望
2015年9月3日、朴槿恵大統領は北京の天安門広場で行われた「中国人民の抗日戦争勝利および世界反ファシスト戦争勝利70周年閲兵式」に出席しました。
朴大統領は、大韓民国の歴史上初めて中国人民解放軍の軍事パレードを視閲した韓国大統領として記録されました。習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領などと共に天安門の楼閣に上がって戦勝節の軍事パレードを視閲する場面は、世界の主要メディアに注目されました。
当時、米国など主な西側諸国の首脳は誰も出席せず、朴大統領の出席はいっそう注目されました。金寛鎮(キム・グァンジン)国家安保室長、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相をはじめとする韓国政府の外交・安全保障分野の主要メンバーは、次のような論理で朴大統領の戦勝節出席を正当化しました。
第一に、韓中関係の強化でした。抗日戦争は韓半島の歴史とも連結しており、これをたたえる場に出席することは外交的に自然な動きであって中国との距離をさらに縮めることができる、というものでした。第二に、北朝鮮問題で中国の役割を引き出すための戦略的アプローチでした。朴大統領の戦勝節出席直前、北朝鮮は非武装地帯(DMZ)木箱地雷挑発を敢行し、韓国軍は11年ぶりに対北拡声器放送を再開しました。中国は北朝鮮に対して実質的影響力を及ぼし得る唯一の国であって、戦勝節出席は安全保障の側面からも意味がある、という説明でした。
さらに朴槿恵政権は、戦勝節出席を契機として中国と統一について話し合いを始めることで合意した点を、大きな成果として評価しました。朴大統領と習主席は、戦勝節記念式典の前日に開かれた韓中首脳会談で、異例にも統一に関する対話を交わしました。朴大統領が「韓半島は分断70周年を迎え、早く平和裏に統一されることが、この地域の平和と繫栄に寄与するだろう」と言うと、習主席は「韓半島が将来において韓民族により平和的に統一されることを支持する」と発言しました。中国はこれまで南北統一について言及することを控えてきましたが、韓国政府の立場に配慮したのです。
朴大統領は任期中、「統一大当たり」論を発表して統一に対し大きな関心を示していましたが、朱鉄基(チュ・チョルギ)外交安保首席を事前に北京へと送り、統一についての習主席の言及がぜひとも必要と主張して貫徹させたことが分かりました。
■米国の不愉快な視線、韓米日協力に亀裂が入る懸念
韓国政府のこうした立場とは異なり、朴大統領の北京訪問は韓国国内および海外で、予想よりも強い反発を呼び起こしました。米国のオバマ政権は、韓日間の慰安婦問題などで緊張が高まる中にあって韓国の大統領が中国の主席と並んで軍事パレードを視閲する様子が、韓米日安全保障協力に否定的な影響を及ぼしかねないと懸念しました。
私は2015年の朴大統領の戦勝節出席直後、ワシントンを訪れ、米国務省の主な関係者と会うことができました。非公開で行われた対面で、その関係者は米国の立場をこのように明かしました。
「朴大統領の中国戦勝節出席については、米国で『問題ない』という人もいるが、『同盟国の大統領がどうしてそんな行事に出席できるのか』と言って理解しない人もいる」。米政権内では朴大統領の決定に反発する雰囲気が強いということを、遠回しにほのめかしたのです。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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