▲韓国大検察庁(ソウル市瑞草区)/聯合ニュース
尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が内乱容疑で特別検事による捜査を受けて拘束されたことで、彼の検事時代を思い出した人たちがいる。尹氏が捜査班長を務めた国政介入特別検事チームは、毎日のように捜査状況を記者に説明し、朴槿恵(パク・クンヘ)政権関係者を大量に起訴した。当時の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「大韓民国の最も重要な懸案は国政介入事件の捜査と公訴維持だ」とし、左遷されて高検検事だった尹氏をソ..
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▲韓国大検察庁(ソウル市瑞草区)/聯合ニュース
尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が内乱容疑で特別検事による捜査を受けて拘束されたことで、彼の検事時代を思い出した人たちがいる。尹氏が捜査班長を務めた国政介入特別検事チームは、毎日のように捜査状況を記者に説明し、朴槿恵(パク・クンヘ)政権関係者を大量に起訴した。当時の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「大韓民国の最も重要な懸案は国政介入事件の捜査と公訴維持だ」とし、左遷されて高検検事だった尹氏をソウル中央地検長に抜てきした。
【図】尹錫悦前大統領が収監されている2坪独房
「積弊捜査」で鋭いメスを振るった「尹錫悦師団」による捜査は苛酷なものだった。微罪の容疑でも起訴された。裁判記録はトラックで運ぶほど膨大で「トラック起訴」と呼ばれた。そうして起訴されたある人物は「裁判にかけ、自力で無罪を受けろというやり方だった」と話した。捜査情報のリーク、公の場で恥をかかせる行為も横行した。2018年12月、手錠をかけられたまま取材陣の前に立った李載寿(イ・ジェス)元国軍機務司令官は、自ら命を絶った。
「内乱容疑」で特別検事の捜査を受ける尹氏は当時の積弊捜査の被疑者が受けた苦難を体験している。聴取を拒否すると特別検事は「捜査妨害が度を過ぎた」として弁護団を圧迫した。拘束後出頭に応じないと3回にわたり強制的に出頭させようとし、拘置所の責任も問おうとした。7月16日に予定されていたモース・タン元米国務省国際刑事司法担当大使と尹氏の面会も、特別検事による接見禁止で不発に終わった。
尹氏の栄誉と恥辱は特殊捜査と呼ばれる検察の直接捜査の危険性を示している。捜査がある目的を目指せば、節制を失うことになり、多くの人が傷つく。「積弊清算」のドーパミンで耐性ができたのか、「内乱清算」はさらにひどくなったようだ。刑事司法制度の専門家である金鍾旻(キム・ジョンミン)弁護士が「趙垠奭(チョ・ウンソク)特別検事は『内乱清算』の名で無法者のように刀を振るうのをやめろ」と語るほどだ。
金弁護士は「尹錫悦のような検事が二度と出てこないように検察を改革しなければならない」と話した。検察の本来の機能は捜査ではなく、捜査過程における人権侵害を防ぐことにある。真の検察改革を進めるには、検察による直接捜査を制限し、政治権力が人事で検察を操ることを防がなければならない。しかし、民主党が検察を廃止してつくるという首相室傘下の「国家捜査委員会」ははるかに危険だ。重大犯罪捜査庁、警察庁、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)を管理・監督するもので、政治権力が捜査機関を一気に操る「万能リモコン」だからだ。
「検事内戦」の著者金雄(キム・ウン)は新著「ソクラテスはなぜ死んだのか」で「大半の政治家は検察を改革する考えがなく、それが何なのかも分かっていない」と指摘した。権力を握れば、検察を利用して相手方はたたいて捕まえ、自分たちの恥部は隠そうとするのだ。検察改革と言いながら、特殊捜査を強化することは、ダイエットしながら高カロリーのデザートを取るのと同じだ。
現与党の目的は、検察改革なのか、検察掌握なのか。掌握の意図が明らかに見える「改革」は再び失敗せざるを得ない。「第2の尹錫悦」を防ぐためにも制度の本質を振り返る必要がある。
梁銀京(ヤン・ウンギョン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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