李在明(イ・ジェミョン)政権が法人税率と証券取引税率の引き上げ、株式譲渡所得税税源拡大など3つの増税カードを切ったのは、2023年以降3年連続で税収不足に陥る可能性を受けた歳入基盤拡充の必要性に加え、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権による減税効果が微々たるものだったという与党の一部による主張があるためと分析される。
【表】2025年税法改正案の主な内容
李大統領は当初、共に民主党の大統領候補を決め..
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李在明(イ・ジェミョン)政権が法人税率と証券取引税率の引き上げ、株式譲渡所得税税源拡大など3つの増税カードを切ったのは、2023年以降3年連続で税収不足に陥る可能性を受けた歳入基盤拡充の必要性に加え、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権による減税効果が微々たるものだったという与党の一部による主張があるためと分析される。
【表】2025年税法改正案の主な内容
李大統領は当初、共に民主党の大統領候補を決める予備選に出馬した今年4月、テレビ討論会で「今は経済状況があまりにも苦しく、政府負担を民間に押し付ける増税の推進は望ましくない」と述べた。李大統領の大統領選公約にも法人税増税はなかった。先の文在寅(ムン・ジェイン)政権の「富裕層・財閥増税」路線とは一線を画した格好だ。
しかし、具潤哲(ク・ユンチョル)経済副首相兼企画財政部長官が7月15日、就任前の人事聴聞会での書面答弁で「前政権で景気低迷と法人税率引き下げで歳入基盤が弱まった面がある」と述べ、増税論議に火がついた。その後、尹錫悦政権下で引き下げられた法人税率、証券取引税率の再引き上げ、いったん緩和された株式譲渡所得税の大株主基準の再強化に向けた動きが本格化した。
■租税負担軽減する主要国に逆行
法人税率引き上げは主要国における減税の流れに反するとの批判が出ている。ドイツは15%の法人税率を2028年から毎年1ポイントずつ引き下げ、段階的に2032年までに10%に段階的にする計画を立てている。通商戦争を繰り広げている米国は21%の法人税率自体は引き下げないが、輸出企業を対象とする控除拡大などで実効税率を14%にまで引き下げる。
こうした状況で、韓国は既に法人税率が経済協力開発機構(OECD)の加盟国平均を上回っているにもかかわらず、さらに引き上げようとしている。韓国の法人税最高税率は2023年時点で26.4%(地方税10%含む)で、OECD加盟38カ国の平均(23.6%)を2.8ポイント上回る。国内総生産(GDP)に占める法人税税収の割合を意味する「法人税負担率」は2022年時点で韓国が5.4%とOECD加盟国でノルウェー(18.4%)、オーストラリア(6.4%)、チリ(5.6%)に続き4位だ。
金正湜(キム・ジョンシク)延世大名誉教授は「税収が減る理由には法人税率以外にも労使関係と投資環境、経済条件などさまざまな原因があるにもかかわらず、税率だけを引き上げることは問題だ。企業投資を増やせるように税金以外の条件を改善すべきだ」と話した。
■証券取引税・株式譲渡税も引き上げ
今回の税法改正案が国会のハードルを越えることができれば、来年から5年間、年平均で税負担は8兆2000億ウォン(約8800億円)増える。これは「富裕層増税」路線で法人税率などを引き上げた文在寅政権初の税法改正案の税負担増加幅(5兆5000億ウォン)の1.5倍に相当する。今回の税法改正案による税負担増加分の56.1%を占める4兆6000億ウォンが法人税率引き上げによるものだ。28%(2兆3000億ウォン)は証券取引税率の引き上げで生じる追加税負担だ。
税法改正案によると、現在0.15%の証券取引税率が来年から0.2%へと上昇する。文在寅政権は株式、債券、投資信託などの金融投資所得に別途税金(金融投資所得税)を課し、証券取引税は段階的に引き下げようとしたが、尹錫悦政権は金融投資所得税導入を白紙化し、証券取引税だけを引き下げた。今回は金融投資所得税が白紙化されたことを理由に、証券取引税を再び引き上げる格好だ。
ただ、市場では韓国総合株価指数(KOSPI)を5000の大台に乗せる公約を掲げ、資本市場活性化を主張してきた李在明政権の路線に反する政策だとの反応が出ている。証券取引税は収益が出るかどうかにかかわらず、全ての取引に課税されるため、小口投資家が激しく反発すると予想されるからだ。
株式譲渡所得税を支払うことになる大株主の基準も現在「1銘柄当たり50億ウォン以上保有」から従来の「同10億ウォン以上保有」に戻すことにした。持ち株比率基準(KOSPI1%以上、店頭市場コスダック2%以上、第3の市場コネックス4%以上)も復活させた。保有額が10億ウォン未満でも持ち株比率次第で課税するものだ。
株式譲渡所得税を納付する大株主が増えれば、課税基準になるタイミングの年末を前に大株主が節税のために保有株式を売り、小口投資家が損失を受ける事態が繰り返されることが懸念されている。
鄭錫愚(チョン・ソクウ)記者、キム・スンヒョン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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