▲イラスト=UTOIMAGE
80年以上前にナチスがオランダで略奪し、行方が分からなくなっていた名画が、アルゼンチンの不動産販売広告に写っていたことが分かった。
英紙ガーディアンなどが8月26日(現地時間)、報じた。それによると、アルゼンチン・ブエノスアイレス近くの海沿いの都市で、売却物件として出ていた住宅の広告写真に「婦人の肖像」(コレオニ伯爵夫人)という絵画が写っていた。ソファーとテーブルのある部屋を撮影した写真の中で、..
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▲イラスト=UTOIMAGE
80年以上前にナチスがオランダで略奪し、行方が分からなくなっていた名画が、アルゼンチンの不動産販売広告に写っていたことが分かった。
英紙ガーディアンなどが8月26日(現地時間)、報じた。それによると、アルゼンチン・ブエノスアイレス近くの海沿いの都市で、売却物件として出ていた住宅の広告写真に「婦人の肖像」(コレオニ伯爵夫人)という絵画が写っていた。ソファーとテーブルのある部屋を撮影した写真の中で、ソファー後方の壁面に掲げられていたのだ。
【写真】広告に写り込んでいた肖像画
この絵画は、後期バロックの肖像画家ジュゼッペ・ギスランディの作品だ。オランダ教育文化科学省が第二次世界大戦後に「未返還」として分類した紛失美術品のうちの一つだ。もともとオランダの有名なユダヤ人美術商ジャック・ゴードスティッカー氏が所有していたが、同氏は1940年にナチスによる侵攻から逃れて脱出する途中、船から転落して死亡した。
その後、同氏が所蔵していた1100点あまりの美術品は、数週間後に「ナチス政権ナンバー2」と言われていたドイツ空軍総司令官ヘルマン・ゲーリングの手に渡った。終戦後、一部の作品はドイツで回収されてオランダの国立美術館に展示され、2006年には202点がゴードスティッカー氏の唯一の相続人だった同氏の義理の娘に返還された。しかし、「婦人の肖像」だけは行方が分からないままだった。
オランダの日刊紙ADは、戦争当時の文書を通じ、この絵画がゲーリングの側近フリードリヒ・カドゥギエンが所有していたことを突き止めた。カドゥギエンは1978年に71歳で死亡しており、アルゼンチンに住むカドゥギエンの2人の娘に数年にわたって連絡を試みたが、拒絶された。ところが娘たちの自宅が売りに出されたことが分かり、不動産サイトのリンクを突き止めてアクセスしたところ、サイト上の写真に「婦人の肖像」と推定される絵画が写っていたのだ。
美術史関連の学者たちは、この絵画が本物である可能性が高いとの見方を示した。ただし、実際に鑑定するまでは断定できないと口をそろえた。元の所有者であるゴードスティッカー家の弁護士は「絵画を取り戻すために最善を尽くしたい」とコメントした。相続者である義理の娘も「私たち家族の目標はゴードスティッカーのコレクションのうち略奪された全ての作品を取り戻し、遺産を回復すること」と表明した。
ムン・ジヨン記者
チョソン・ドットコム/朝鮮日報日本語版
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