▲イラスト=UTOIMAGE
抗生物質が効かない「スーパーバクテリア(細菌)」と呼ばれる耐性菌(カルバペネム耐性腸内細菌科細菌、CRE)の感染者数が韓国でここ5年で2.3倍に増加し、死者も3.7倍に急増したことが分かった。
【図】致死率75%・ワクチンなし「ニパウイルス」を第1級感染症に指定 韓国疾病管理庁
国会保健福祉委員会のハン・ジャア議員(国民の力)が疾病管理庁から提出を受けた資料を14日に公開して分かった。それによると..
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抗生物質が効かない「スーパーバクテリア(細菌)」と呼ばれる耐性菌(カルバペネム耐性腸内細菌科細菌、CRE)の感染者数が韓国でここ5年で2.3倍に増加し、死者も3.7倍に急増したことが分かった。
【図】致死率75%・ワクチンなし「ニパウイルス」を第1級感染症に指定 韓国疾病管理庁
国会保健福祉委員会のハン・ジャア議員(国民の力)が疾病管理庁から提出を受けた資料を14日に公開して分かった。それによると韓国のCRE感染症発生件数は集計が始まった2017年には5717件だったが、その後は増加を続け20年1万8113件、昨年は4万2347件を記録した。20年に226人だった死亡者数も昨年は838人に急増した。
CREは代表的な抗生物質「カルバペネム系抗生物質」に耐性を持つ腸内細菌だ。カルバペネム系抗生物質に耐性が生じた場合、別の抗生物質もほぼ効かないため治療が難しくなる。他の臓器に転移すれば肺炎や敗血症、尿路感染などを起こし、死亡率が26-75%に達する非常に危険な細菌だ。2017年に2級法定感染症に指定されたが、法定感染症の中でも昨年死亡した患者の数が838人と最も多く、2位の後天性免疫欠乏症(AIDS)=158人=の5倍以上だ。
抗生物質を多く使用するほど腸内細菌が耐性を持つ可能性が高くなるため、抗生物質の過度な使用がCRE感染拡大の原因との指摘もある。健康保険審査評価院がハン・ジャア議員に提出した資料によると、韓国における抗生物質処方量は2020年の3億4767万件から2024年は5億5517万件と約60%も増えた。韓国の人口から単純計算すると、国民1人当たり年平均10回ほど抗生物質が処方されている計算になる。医療関係者の間からは「抗生物質を適正レベルで使用し腸内細菌が耐性を持たないようにすべきだ」「病院がしっかりと管理できるよう政府が対策を立てる必要がある」などの指摘も相次いでいる。賀所
CRE感染症は高齢者や長期の入院患者など免疫力が低い人に集中的に症状が出始めるため、主に医療機関の中で広がるケースが多い。感染者との身体接触や細菌に汚染された医療機器などを通じて感染するからだ。上級総合病院における感染件数は2023年の1万3443件から24年は1万905件へと19%ほど減少したが、療養型病院では20年の1485件から昨年は8940件に急増した。
医療関係者の間では今後CRE感染症の急増を懸念する声が相次いでいる。英国政府の報告書によると、耐性菌が原因の死者は2050年には世界で毎年1000万人に達すると見込まれている。翰林大学江南聖心病院感染内科のイ・ジェガプ教授によると、韓国には10年ごろに海外から流入したと推定され、また複数ある耐性菌の中でCREが特に急速に広がっており、今では見過ごせない問題になったという。ハン・ジャア議員は「抗生物質の適正使用について政府がモニタリングしている病院はわずか130カ所だ。CRE感染の現状と抗生物質の適正使用を同時に把握できる管理システムを早急に構築しなければならない」と指摘した。
クァク・レゴン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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