▲写真=UTOIMAGE
今年末にも就役が予想される中国3番目の空母「福建」は、中国の空母としては初めて先端電磁式カタパルト(射出機)を配備しているが、甲板設計の欠陥で艦載機の同時発着艦が事実上不可能との分析が中国内部で示された。同時発着艦が不可能になれば、艦載機の出撃回数が大幅に減り、戦闘能力が低下する。
【写真】甲板の設計上同時発着艦できない中国最新空母「福建」
福建は9月12日、台湾海峡を通過し海南省に向かう9回目の..
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▲写真=UTOIMAGE
今年末にも就役が予想される中国3番目の空母「福建」は、中国の空母としては初めて先端電磁式カタパルト(射出機)を配備しているが、甲板設計の欠陥で艦載機の同時発着艦が事実上不可能との分析が中国内部で示された。同時発着艦が不可能になれば、艦載機の出撃回数が大幅に減り、戦闘能力が低下する。
【写真】甲板の設計上同時発着艦できない中国最新空母「福建」
福建は9月12日、台湾海峡を通過し海南省に向かう9回目の試験航海を実施し、就役が近いと予想されている。既存空母の「遼寧」「山東」も最後の試験航海から1~2カ月後に就役した。
中国国営中央テレビ(CCTV)は8月5日に放送した「突撃-強軍を目標に一流に向かって」と題するドキュメンタリーで福建の飛行甲板管制室を公開した。この映像には管制官が斜めの滑走路に着陸した艦載機が1号・2号射出機のそばを通り、反対側の整備区域に移動する過程を説明する場面が出てくる。中国の軍事評論メディア「海事先鋒」は9月15日、その場面に基づき、「艦載機の同時発着艦は排水量8万~10万トン級大型空母が備えるべき最小限の要件だが、福建は大型空母にもかかわらず、事実上艦載機の同時発着艦が不可能だ」と指摘した。
■米国式カタパルトを備えた中国空母
海事先鋒が示したグラフィックによると、福建の2号射出機は斜めに延びる着陸滑走路の端の部分と重なる。3号射出機の発進経路は着陸滑走路内にある。艦載機が着艦する際、2・3号の離陸射出機は使えないということになる。 1号射出機による発進経路は着陸滑走路とは重ならないが、着艦した艦載機が反対側の整備区域に移動するためには、1号射出機の発進経路を横切らなければならない。海事先鋒は、福建の艦載機であるJ-15(殲-15)は中型戦闘機なので、着艦時の衝撃が大きく、滑走路の端まで行って停止するとし、着艦時には事実上1・2号射出機を使うことができないと指摘した。
中国の軍備体系の欠陥は、これまで西側の軍事専門メディアが主に報じてきたが、今回は中国メディアによって報じられた。記事が検閲されないことからみて、中国当局もそうした問題を既に熟知しているとみられる。
中国は2012年にウクライナから輸入して改造した空母遼寧を就役させ、2019年には遼寧の設計を一部変更して独自に建造した山東を実戦配備した。ただ、両空母は旧ソ連の空母をそのままコピーしたもので、艦載機の発着艦方式に致命的な問題があった。両空母は、船首がそれぞれ14度、12度ほど上を向いている。艦載機が短い滑走路で発進しやすいように船首を持ち上げたのだ。
■大型空母が備えるべき最低要件満たさず
スキージャンプと呼ばれるこの方式の最大の問題点は、艦載機の離陸重量が大幅に低下する点だ。発進時に搭載できる燃料と装備を減らすしかない。重量が大きい早期警戒機などは空母への搭載が不可能だ。
米軍の空母はその問題を解決するため、高圧の蒸気や電磁気を利用し、艦載機を瞬時に時速250キロ以上に加速するカタパルトを使用する。スリングショット(パチンコ)を撃つように重い機体を空中に打ち上げるのだ。米国はほとんどの空母が蒸気式カタパルトを使うが、最新空母のジェラルド・R・フォードと試験航行中のジョン・F・ケネディは電磁式カタパルトを採用している。蒸気式カタパルトを使う空母レーガンの艦載機最大離陸重量は45トンで、山東の最大離陸重量28トンの2倍に達する。それだけ多くの燃料と装備を搭載することができる。
2022年に進水した中国3番目の空母福建は、米空母フォードのように電磁式カタパルトを搭載し、米国を緊張させた。米国では「米海軍がこれからまともな敵と出会うことになる」とまで言われた。
空母の戦闘力を測定する重要な基準の一つに出撃回数を意味する「ソーティー(Sortie)」がある。艦載機1機が燃料と装備を搭載して発艦し、任務を遂行して帰還することをソーティー1回と数える。それが限られる多ければ多いほど、空母戦団の戦闘能力が向上する。蒸気式カタパルトを使用する米ニミッツ級空母は1日の標準ソーティーが120回だ。電磁式カタパルトを運用する空母フォードはそれを同160回まで引き上げた。非常時には240回も可能だという。大幅な引き上げには、空母の甲板を拡大し、艦載機の同時発着艦ができるようにすることが必要だ。
■原子力空母就役までの過渡期
福建は排水量が6万トン前後の遼寧、山東と異なり、最大排水量が8万トンを超える。長さ320メートル、幅76メートルで、米国のニミッツ級空母(排水量10万トン)に迫る。米国並みに空母戦闘力を引き上げるため、排水量を大幅に増やし、電磁式カタパルトも採用した。しかし、甲板設計の問題で同時発着艦が不可能になれば、目標達成は容易ではない。
海事先鋒は問題が生じた理由として、当初福建が蒸気式カタパルトを装着する方向で設計された点を挙げた。電磁式に変更する過程で十分な設計上の考慮がなされなかったことになる。蒸気式は滑走路の長さが70メートル程度だが、電磁式では100メートル以上になる。滑走路が長くなったことで、着陸滑走路との重複が生じた。
中国国内では、原子力推進方式を採用する4番目の空母が登場するまで、福建が空母の過渡期を担うにとどまると予想されている。米国の原子力空母とは異なり、ディーゼルエンジンを使用して作戦範囲が限られる状況で、甲板の設計に問題があるため、米空母に対抗し得るレベルではないとされた。中国の軍事評論メディア「雲霄武堂」は「福建の設計陣が離着陸問題を犠牲にし、電磁式カタパルトを採用することで、(早期警戒機など)重い高性能機体の出動能力を確保するという戦略的選択をしたのではないか」とし、「原子力空母が登場すれば、米ニミッツ級空母レベルのカタパルトと同時発着艦環境が整う」と予想した。
崔有植(チェ・ユシク)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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