▲李禹栄(イ・ウヨン)延世大新素材工学科アンダーウッド特勲教授
中国が最近、一部レアアース(希土類)の輸出を制限すると、米政府は直ちに反発した。米商務省は「世界のサプライチェーンを武器化しようとする試みだ」として強く批判し、米議会は中国産レアアースに対する追加関税を検討中だ。しかし、さらに危険な状況に置かれたのは米国ではなく韓国だ。
レアアースは電気自動車(EV)の駆動モーター、風力発電機、軍需装備などに欠かせない永久磁石を製造するための重要素材だ。特に今回..
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▲李禹栄(イ・ウヨン)延世大新素材工学科アンダーウッド特勲教授
中国が最近、一部レアアース(希土類)の輸出を制限すると、米政府は直ちに反発した。米商務省は「世界のサプライチェーンを武器化しようとする試みだ」として強く批判し、米議会は中国産レアアースに対する追加関税を検討中だ。しかし、さらに危険な状況に置かれたのは米国ではなく韓国だ。
レアアースは電気自動車(EV)の駆動モーター、風力発電機、軍需装備などに欠かせない永久磁石を製造するための重要素材だ。特に今回中国が輸出を制限したジスプロシウム、テルビウムのような重レアアースは、高性能磁石合金に必要とされる。韓国は約80%を中国から輸入している。それにとどまらず、精製後に磁石粉末で合金化し、焼結して最終磁石を作る工程全体でも中国への依存度が高い。実際磁石輸入の約90%が中国からだ。このサプライチェーンが行き詰まれば、単なる原料供給障害ではなく、重要部品の生産と産業機器の組み立て全体がストップする可能性がある。
米国は自国内の廃鉱を再稼動するとともに、同盟国とサプライチェーン協力を構築し、積極的な対応に乗り出した。これに加え、米エネルギー高等研究計画局(ARPA-E)を中心にレアアース代替磁石の開発に数千万ドル規模の研究開発資金を短期間で投入し、素材自立戦略を本格化している。
それに対し、韓国はまだレアアース代替磁石分野への体系的な財源確保プログラムさえ準備していない。公共の研究・開発予算は分散しており、長期技術ロードマップと政策連携も不十分だ。レアアースを依然として「希少金属」程度に認識している限りは、技術的な自立は遠い。この競争は単なる輸入先確保競争ではない。鉱物サプライチェーンの世界は、既に戦略資産確保戦争に突入している。一つの素材が産業の命運を左右する時代だ。
今からでも韓国はレアアースサプライチェーンの危機に真剣に対処しなければならない。まず、精製および代替素材技術を素材・部品・設備戦略の中心軸に据え、体系的かつ集中的な研究開発投資を拡大すべきだ。オーストラリア、アジア、アフリカ、南米などの資源国との供給契約や共同投資協力も積極的に推進し、輸入先を多角化する必要がある。
廃バッテリーと電子機器などからレアアースを回収するリサイクル技術の開発も急がれる。それを産業化する循環経済生態系も構築しなければならない。同時に一定水準のレアアースを国が戦略的に備蓄し、産業界と連携した共同運営体制を整える必要がある。リサイクル、精製、磁石加工などの技術に参画する国内企業に対する金融・租税・人材面の支援も強化すべきだ。関連分野の中核的技術人材を養成するため、大学、政府出資による研究機関の役割を制度的に拡大し、産学研連携型の高級人材育成プログラムで中長期的な人材基盤を確保していく必要もある。代替磁石技術の開発と商用化戦略も中長期的な観点から着実に推進しなければならない。
レアアースは単なる資源ではない。国家産業の持続可能性を左右する戦略的資産だ。選択の余地はない。今準備しなければ、チャンスはライバル国の手に渡る。手遅れになる前に我々は迅速で徹底した対応が求められる。
李禹栄(イ・ウヨン)延世大新素材工学科アンダーウッド特勲教授
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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