▲朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は10月19日、国防省の報道官談話を通して、平壌に侵入した無人機が韓国軍の無人機と同一の機種だと主張した。/写真=労働新聞・ニュース1
尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の内乱・外患容疑を捜査している特別検察官(特検)チームが10日、尹錫悦政権時に行われた韓国軍の「平壌無人機潜入作戦」が韓国刑法上の一般利敵罪に該当するとして、尹・前大統領と金竜顕(キム・ヨンヒョン)元国防相、呂寅兄(ヨ・インヒョン)元国軍防諜(ぼうちょう)司令官を追加で起訴した。12・3非常戒厳を宣布するための条件をつくり上げるため、対北軍事作戦で危機をつくり出..
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▲朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は10月19日、国防省の報道官談話を通して、平壌に侵入した無人機が韓国軍の無人機と同一の機種だと主張した。/写真=労働新聞・ニュース1
尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の内乱・外患容疑を捜査している特別検察官(特検)チームが10日、尹錫悦政権時に行われた韓国軍の「平壌無人機潜入作戦」が韓国刑法上の一般利敵罪に該当するとして、尹・前大統領と金竜顕(キム・ヨンヒョン)元国防相、呂寅兄(ヨ・インヒョン)元国軍防諜(ぼうちょう)司令官を追加で起訴した。12・3非常戒厳を宣布するための条件をつくり上げるため、対北軍事作戦で危機をつくり出した―というのだ。特検が刑法上の外患容疑で尹政権関係者を裁判にかけたのは初めてだ。3人は内乱容疑などで既に勾留されている。
【写真】起訴された4人の主な容疑
特検関係者は10日のブリーフィングで「尹錫悦・金竜顕・呂寅兄などは共謀して非常戒厳を宣布できる条件をつくり上げるための目的で、南北間の武力衝突の危険を増大させるなど、大韓民国の軍事上の利益を阻害した」とし「3人を一般利敵および職権乱用の容疑で起訴した」と発表した。特検は、尹・前大統領の側近である金竜顕・呂寅兄の両被告が無人機作戦全般に深く関与したものとみている。二人は沖岩高校出身で、尹・前大統領の同窓生だ。
特検は、被告らが「無人機作戦は戒厳宣布のためのもの」だという「意図」を認識して作戦の計画・準備・実行の全てに関与したとみている。特検は、その証拠として呂・元司令官の携帯電話で見つけたメモを提示した。昨年10月に作成された呂・元司令官の携帯電話メモには「不安定な状況をつくったりつくり出された機会を捉えたりするべきだ。最終状態は低強度ドローン紛争の日常化」「敵の戦略的武力誇示の際、これを軍事的名分化できるだろうか」といった内容が含まれていた。メモには、北朝鮮が(挑発に)必ず対応することは避けられない「ターゲット」として平壌、核施設2カ所、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の休養先、三池淵などに言及した内容も含まれていた―と特検は明かした。特検は、非常戒厳宣布前に作成された呂・元司令官の携帯電話メモには「布告令違反の最優先検挙および押収・捜索」という内容もあったと明かした。特検はまた、ノ・サンウォン元情報司令官の手帳のメモを根拠に、尹・前大統領などの戒厳の話し合いが始まった時期について、検察が当初考えていた2024年3月より5カ月早い23年10月と判断し、裁判進行中の内乱事件の起訴状を変更する予定だ。
特検は、昨年10月に「平壌無人機潜入作戦」を指揮したキム・ヨンデ元ドローン作戦司令官も、10日に職権乱用・虚偽公文書作成などの容疑で在宅起訴した。ただし特検は、キム元司令官は戒厳の条件づくりなどこの作戦の目的を事前に知らなかったとみて、一般利敵容疑は適用しなかった。キム元司令官は、国連軍司令部の承認など関連の手続きを守らないまま部下に無人機の平壌潜入を指示し、作戦中に無人機1機が平壌に墜落した事実を隠すため虚偽の文書を作った疑いが持たれている。
10日に法曹界からは、特検の「外患疑惑」捜査の結果について「特検の発足前後に政界で『外患誘致罪』をうんぬんして疑惑を膨らませていたことと比較すると、貧弱な成果」という声が上がった。先に進歩(革新)系与党「共に民主党」は、外患誘致罪真相調査団を立ち上げて「情報司令部の在モンゴル北朝鮮大使館接触」などを外患誘致疑惑の根拠と主張した。しかし特検は、外患誘致罪の構成要件である「北朝鮮と通謀」した証拠を見つけることができず、一般利敵容疑を適用した。外患誘致罪の法定刑は死刑または無期懲役だが、一般利敵罪は無期または3年以上の懲役だ。法曹界の一部からは「無人機作戦は北朝鮮の対南汚物風船散布に対応する性格もあるので、呂・元司令官のメモだけを持ち出して一般利敵罪を立証するのは容易ではないだろう」という反応も出た。
特検は、外患疑惑に関連して今年7月に国防部(省に相当)やドローン作戦司令部、国軍防諜司令部など軍事機関24カ所を家宅捜索し、元職および現職の軍幹部数十人を出頭させて事情聴取を行ったが、外患関連容疑で起訴した人間は3人に過ぎなかった。軍事専門家らの間からも「北の挑発に対する軍の対応を消極的にする前例になりかねない」という懸念の声が上がった。崔基溢(チェ・ギイル)尚志大学軍事学科教授は「裁判所の最終判断が確定した状況ではないが、今後、対北朝鮮関連の軍事行動全般において指揮官が決心を下すに当たって萎縮することもあり得る」と語った。
■一般利敵罪(韓国刑法99条)
大韓民国の軍事利益を害したり敵国に軍事利益を与えたりした者は無期または3年以上の懲役に処する。「外国との通謀」が立証されなくても処罰できる。
■外患誘致罪(韓国刑法92条)
外国と通謀して大韓民国に武力行使をした者は死刑または無期懲役に処する。もともと内乱特検が適用しようとしていた容疑だが、「北朝鮮と通謀」した証拠を見つけることができなかった。
キム・ヒレ記者、オ・ユジン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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