▲イラスト=UTOIMAGE
京畿道教育庁(教育委員会に相当)が、「AI(人工知能)学習プラットフォーム」の広報動画で、学校の先生がAIに比べてはるかに劣った存在でAIに依存しているような演出をし、物議を醸している。各教員団体は「教員を侮辱している」と強く反発しており、教育界では「学校にAIが深く浸透した時代に、教員の新たな役割を定めることが急がれる」との指摘が出ている。
【写真】京畿道教育庁のAIプラットフォーム「ハイラーニ..
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京畿道教育庁(教育委員会に相当)が、「AI(人工知能)学習プラットフォーム」の広報動画で、学校の先生がAIに比べてはるかに劣った存在でAIに依存しているような演出をし、物議を醸している。各教員団体は「教員を侮辱している」と強く反発しており、教育界では「学校にAIが深く浸透した時代に、教員の新たな役割を定めることが急がれる」との指摘が出ている。
【写真】京畿道教育庁のAIプラットフォーム「ハイラーニング」の広報動画の1シーン
問題となった動画は、京畿道教育庁が14日にSNS(交流サイト)にアップした2分8秒の「ハイラーニング」広報動画だ。「ハイラーニング」とは、生徒の答案をAIが採点するシステムで、京畿道教育庁が今学期から小3-小6、中1、高1を対象に国語・社会・理科(科学)の教科で試験導入した。動画には、先生と、「ハイラーニングAI」と書かれたカチューシャを着けた人物が登場し、国語の試験に関する異議を受け付けるシーンが展開されている。先生は生徒の質問にきちんと答えられないが、AIに仮装した人物はてきぱきと説明する。生徒が「どうして間違えたのですか」と聞くと、先生はAIの方を見て、AIが答えると先生はうなずく。先生が生徒に「もう少し頑張ればいい成績が取れるよ」と言うと、AIは「それは口先だけです。瞳孔が揺れていて声に心がこもっていませんでした」と指摘する。先生はぎこちない表情を浮かべる。先生が「聞きたいことがある人は昼食の後で来るように。先生は今から会議があるので」と言うと、今度はAIが「うそです。トイレに行く時間」と話す。生徒たちは互いに顔を見合わせながら笑っている。
韓国の全国教職員労働組合(全教組)の京畿支部は16日、声明書で「教員の専門性を見下す侮辱的な演出だ」と反発した。京畿教師労組も「教員が生徒に軽視されるような状況を演出し、教員を『うそをつく存在』として誇張した」と指摘した。波紋が拡大すると、京畿道教育庁側は動画を削除して謝罪した。
教育界では「AIの時代に、懸念していた事態が起きた」という反応が飛び出した。知識伝達が中心となっている現在の授業は、いずれAIに代替されるという懸念が広がっていたが、京畿道教育庁がそうした議論に火をつけたというわけだ。新羅大学教育学科の金熙圭(キム・ヒギュ)教授は「教員は学習の助力者であるだけでなく、生徒と関係を築きながら人間性を育てる存在だという点が、韓国社会で見過ごされている。教育庁の動画はその現実を見せてくれた」とした上で「AIの導入が加速すれば、こうした意見がさらに強まる可能性があるため、教員の専門性と役割について教育界が率先して考え、伝えていかなければならない」と指摘した。
キム・ミンギ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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