▲イラスト=朝鮮デザインラボ、Midjourney
中国は日本から単なる「謝罪」を望んではおらず、国際社会で「判定勝ち」を収めてさまざまな方面で有利な立場に立つことを目指している。日本の高市早苗首相による「台湾有事に軍事介入」を示唆する発言後、中国の外交政策担当者は自国を訪問したフランス、ドイツの外相に中国支持を訴え、国連事務総長には何度も書簡を送った。世界が見つめる中で日本を「断罪」し、今後台湾問題で日本の介入を阻止し、米日安保協力を根本からつ..
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▲イラスト=朝鮮デザインラボ、Midjourney
中国は日本から単なる「謝罪」を望んではおらず、国際社会で「判定勝ち」を収めてさまざまな方面で有利な立場に立つことを目指している。日本の高市早苗首相による「台湾有事に軍事介入」を示唆する発言後、中国の外交政策担当者は自国を訪問したフランス、ドイツの外相に中国支持を訴え、国連事務総長には何度も書簡を送った。世界が見つめる中で日本を「断罪」し、今後台湾問題で日本の介入を阻止し、米日安保協力を根本からつまずかせる大きなビジョンを描いているのだ。
中国指導部は今の対立状況で日本に対して非常に強硬な経済制裁ではなく、文書や規範を前面に出している。まず1972年の中日共同声明に基づき「日本は一つの中国という原則を守るべきだ」と主張し、さらに1978年の中日平和友好条約に明記された「内政不干渉原則」を改めて訴えた。また日本の台湾放棄を定めたポツダム宣言(1945年)を引き合いに出し「台湾帰属問題はすでに決着がついた」と主張している。最後に国連憲章に基づき高市首相の発言を「武力による脅威」として国際法違反だと責め立てている。
中国外交部(省に相当)が古い文書を次々と持ち出した理由は、日本による台湾問題への言及を「戦後の国際秩序を揺るがす問題」としたいからだ。この構図が成立すれば日本は単に中国を刺激した国ではなく、世界の平和を揺るがす「危険な国」になる。
中国が「敗戦国・日本の再武装」というフレームを持ちだして攻勢を強めれば、米日同盟を基盤とする安全保障協力は守勢に立つしかない。台湾有事に日本が米国を軍事支援することへの負担も大きくなるため、そうなれば台湾防衛に致命的な影響が出るのは間違いない。もし高市首相が中国の求めに応じて発言を撤回、あるいは謝罪した場合、中国はさらに厳しい外交カードを持ち出すだろう。
中国は自分たちの正当性を認めさせることが最優先と考えているため、日本に対する経済面での報復は逆に自制するだろう。中国は2010年の尖閣諸島(中国名:釣魚島)問題では日本を屈服させるためレアアース輸出規制というカードを性急に使い、国際社会から逆に「資源の武器化」と批判を受けメンツをつぶした。その一方で中国が日本との対立で手にする利益もある。新型コロナによる封鎖政策の解除後、「日本観光ブーム」で発生した国富の流出を阻止し、内需を促す効果を期待しているようだ。
中国が描く大きなビジョンに韓国が巻き込まれる不都合な現実も直視しなければならない。中日対立は今後、紛争ではなく、中国にとって新たなアジア秩序を構築する戦略の一部に変わろうとしている。また時間が過ぎるほど中国は韓国に「判定者になれ」という圧力をさらに強めるだろう。他国との対立で細かいことに規範を持ち出す中国の新たな外交方針が韓中関係に及ぼす影響を韓国は今から認識し、その備えに取り組んでおかねばならない。
北京=李伐飡(イ・ボルチャン)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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