▲趙垠奭・特別検察官/写真=ニュース1
尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の内乱・外患疑惑を捜査してきた趙垠奭(チョ・ウンソク)特別検察官(特検)が、180日間の捜査を終えて捜査結果を発表した。違法な非常戒厳事態は、今年1月に検察が前大統領を内乱容疑で起訴した時、既に大部分が明らかになっていた。特検が新たに明らかにしたのは、尹・前大統領が2023年10月以前から非常戒厳宣布を準備しており、金建希(キム・ゴンヒ)夫人の司法リスクが戒厳宣..
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▲趙垠奭・特別検察官/写真=ニュース1
尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の内乱・外患疑惑を捜査してきた趙垠奭(チョ・ウンソク)特別検察官(特検)が、180日間の捜査を終えて捜査結果を発表した。違法な非常戒厳事態は、今年1月に検察が前大統領を内乱容疑で起訴した時、既に大部分が明らかになっていた。特検が新たに明らかにしたのは、尹・前大統領が2023年10月以前から非常戒厳宣布を準備しており、金建希(キム・ゴンヒ)夫人の司法リスクが戒厳宣布に影響を及ぼしたと判断したことくらいだ。実に238人の捜査要員を投入して6カ月にわたって捜査した結果がこれだ。検察の捜査から大きく進展することはなかった。
発表内容の中にも、事実関係を正確に明らかにしたというよりは、政治的評価を行った部分が少なくない。特検は、戒厳宣布の目的が「政治的反対勢力を除去して権力を独占・維持するため」だとした。その根拠として、非常立法機構に立法権を掌握させようとし、報道機関の電気・水道の遮断を試みる内容が記された文献などを挙げた。既に判明している事実を根拠に推定を付け加えたもので、しかも、それすら常とう的だ。
特検は、27人を起訴したことを成果として掲げている。検察の捜査時と違って、韓悳洙(ハン・ドクス)前首相、朴性載(パク・ソンジェ)前法相などの閣僚と大統領室関係者を大量起訴した。しかも韓・前首相には内乱ほう助、朴・前法相などには内乱加担の容疑を適用した。だが当時、閣僚の多くは戒厳宣布を知らない状態で大統領室に呼ばれた。戒厳宣布を積極的に防がなかったという政治的批判を受けることはあり得るだろうが、戒厳宣布の事実そのものを知らなかった人々に「ほう助」や「加担」の容疑までかぶせることができるかどうかは、また別の問題だ。ある面では、この人々も被害者だ。にもかかわらず、特検はこの人々に勾留状を請求し、大部分が棄却された。無理な捜査だったのだ。
特検が「尹・前大統領が非常戒厳の名分をつくろうとして非正常な軍事作戦で北朝鮮の武力対応を誘発しようとした」とみている点も同様だ。「戦時、または警察力で統制不能な状況がもたらされるべき」など、呂寅兄(ヨ・インヒョン)元防諜(ぼうちょう)司令官の携帯電話に怪しげな部分があることは事実だ。しかし北は昨年、およそ5000個の「汚物風船」を韓国側へ飛ばし、2022年には北朝鮮の無人機が大統領室のある竜山にまで飛来した。韓国軍がドローンを飛ばして対応するのは当然だ。ドローン司令官もそのように主張した。どちらが真実なのかはまだ確実でない。にもかかわらず、特検は一方へと追い立てた。
特検の発表の中で目を引くのは、金建希夫人が戒厳宣布後、尹・前大統領に向けて「あなたのせいで全部台無しになった」と言って激しく争ったという部分だ。金夫人の側近から確保した供述だという。事実であれば、尹政権の姿を赤裸々に示すものだ。
内乱特検は、検察が捜査を行って起訴まで終えた尹・前大統領などが裁判を受ける中、また捜査をやりたいとして進歩(革新)系の「共に民主党」が発足させた。既に裁判が始まっている事件を最初から捜査し直す特検は、これが初めてだ。内乱政局を続けたいという政略的目的があったからだ。
政略の最終目標は来年6月の地方選挙での勝利だろう。従って、特検がこれで終わらない可能性もある。既に民主党は、特検をまたやりたいと主張し始めた。特検を何回やっても、罪のない人間を苦しめて税金を浪費した後、結局は今回と同じような結果を発表するだけで終わるだろう。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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