▲2025年10月に慶尚北道慶州で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)で首脳会談前に握手する中国の習近平国家主席と日本の高市早苗首相/聯合ニュース
日本の高市早苗首相による「台湾有事」を巡る発言を受け、中国政府は日本に対し「レアアース・プラスアルファ」の幅広い輸出規制に乗り出した。中国による日本への報復は外交面での抗議や人的交流の制限にとどまらず、通商や技術面の段階に入ったと言える。李在明(イ・ジェミョン)大統領が国賓として中国滞在中に日本への厳しい制裁に乗り出す演出を行い、韓米日協力に亀裂を生じさせ「分裂」を起こす狙いがあるとの見方も浮上..
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▲2025年10月に慶尚北道慶州で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)で首脳会談前に握手する中国の習近平国家主席と日本の高市早苗首相/聯合ニュース
日本の高市早苗首相による「台湾有事」を巡る発言を受け、中国政府は日本に対し「レアアース・プラスアルファ」の幅広い輸出規制に乗り出した。中国による日本への報復は外交面での抗議や人的交流の制限にとどまらず、通商や技術面の段階に入ったと言える。李在明(イ・ジェミョン)大統領が国賓として中国滞在中に日本への厳しい制裁に乗り出す演出を行い、韓米日協力に亀裂を生じさせ「分裂」を起こす狙いがあるとの見方も浮上している。
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中国商務部(省に相当、以下同じ)は6日「二重用途(民間・軍用)のあらゆる物資について、日本の軍事関連利用者、軍事用途、日本の軍事力向上につながるその他最終使用者・用途への輸出を禁じる」と発表し、即時施行された。
二重用途物資とは民間用だけでなく軍事用に使用される可能性のある物品のことで、中国は700以上の品目をリスト化し管理している。レアアース関連技術が中心だが、これには軍事用のさまざまな装備・センサー・半導体、バッテリー材料、化学物質などが幅広く含まれている。日本が国家安全保障戦略を見直し軍事力強化に乗り出したため、中国はこれを「軍国主義の復活」と批判し、日本の軍事技術向上阻止を輸出規制強化の口実にしたとみられる。
中国は2010年に尖閣諸島(中国名、釣魚島)の領有権を巡って日本との対立が激化した際、3カ月にわたり日本向けレアアース輸出の通関を遅らせるなど、レアアースをカードとしたことがあるが、今回の「二重用途物資の輸出規制」は10年以上に露骨で幅広い制裁と考えられる。中国は昨年11月以降、外交ルートでの抗議に続き自国民の日本渡航自制の呼びかけ、日本の水産物輸入禁止などで日本への圧力を段階的に強化し、2カ月が過ぎた今回さらに厳しい規制に乗り出した。
■習近平が狙う韓日分裂「日本に戦略物資を提供する国にも報復」
中国は今回の輸出規制の範囲を「日本の軍事力向上につながる最終使用者・用途」と非常に幅広いものとした。規制の適用によっては衛星通信、センサー、電子部品など軍民の境界があいまいな分野でも戦略物資の輸出を事実上遮断できるからだ。朝日新聞は「中国から輸入されるさまざまな分野、特にレアアース、化学物質、産業製品や資材など、多くの分野で輸入が影響を受ける恐れがある」と懸念を示し、毎日新聞は「レアアースや軍事装備に使われる半導体などが含まれるようだ」と報じた。日本企業による中国製原材料の輸入手続きが全体的に厳しくなれば、審査の遅延や取引の先細りは避けられないとみられる。中国は日本のハイテク製造業のサプライチェーンに狙いを定めたと考えられる。
中国商務部は第三国を通じた取引も遮断するという。他国や地域の組織・個人が中国の対応に反して中国が原産地となる二重用途物資を日本の組織や個人に移転・提供した場合、法的責任を追及するとの内容が発表文に明記されている。「セカンダリー・ボイコット条項」が含まれたと解釈できる。
中国は今回の報復の背景について「日本の首相による台湾関連の発言」と明言した。中国商務部の報道官は「日本の指導者が先日、台湾関連の間違った発言を公然と行い、台湾海峡への武力介入の可能性を暗示した。これは中国の内政に乱暴に干渉し、『一つの中国』という原則に深刻に反するもので、その性質と影響は極度に悪質」と批判した。
昨年11月7日の衆議院での質疑で野党議員が「中国が台湾周辺を海上封鎖した場合、日本の『存立危機事態』になるのか」と質問したところ、高市首相は「(中国が)戦艦を動員しこれに武力行使が伴うなら『存立危機事態』になり得る」と答弁し、ここから中国と日本の対立が始まった。高市首相は12月16日「政府の従来の立場を超える発言をしたかのように受け取られたことは反省点としたい」として一歩引いたが、中国は発言そのものの撤回を要求し圧力を強めている。高市首相は新年の記者会見で安全保障政策の根幹となる「安保3文書」の改正に言及したが、これについても中国外交部は5日「日本の右翼勢力による軍国主義復活は絶対に許さない」と反発した。
日本は中国との関係改善を模索していたため、今回の輸出規制強化に戸惑っているようだ。中国が輸出規制強化を発表する前日まで高市首相は新年の記者会見で「中国との対話は開かれており、閉ざしてはいない」「中国とは戦略的互恵関係を包括的に推進し、建設的かつ安定した関係を構築する方針を維持している」と説明していた。
日本政府は中国の輸出規制強化の範囲などについて情報収集を進めており、慎重に対応に当たっているようだ。外務省のある幹部は朝日新聞の取材に「何が対象になるのか、どれぐらいの影響があるのか分からない」「なぜこのタイミングで規制を強化したのかも分からない。恣意(しい)的だ」と憤ったという。一部では過剰な恐怖心を警戒する見方もある。東首席京財団の柯隆首席研究員は日本経済新聞の取材に「10年以上前にレアアース輸出規制に直面した経験がある日本企業は、これまで廃棄された自動車や家電製品からレアアースをリサイクルする技術を確立しており、また在庫もかなりの量を確保している」「今回のレアアース規制は以前のような効果はないだろう」と予想した。
米国によるベネズエラ攻撃など強大国が力の論理を前面に出す中、中国は日本に対する輸出規制強化を前倒ししたとの見方もある。戦略物資の規制に伴う国際社会からの批判が比較的弱まったとの判断が関係しているようだ。
北京=李伐飡(イ・ボルチャン)特派員、東京=成好哲(ソン・ホチョル)支局長
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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