▲写真=UTOIMAGE
米国のキッシンジャー元国務長官は2023年5月17日、100歳の誕生日を記念するエコノミスト誌とのインタビューで「5年以内に日本は核武装するだろう」と衝撃的な予測を示した。その後5月26日に行ったウォールストリート・ジャーナルとのインタビューでもキッシンジャー氏は「中国の勢力拡大に対抗するため日本は大量破壊兵器を独自開発すると予想している。核武装まで早ければ3年、長くても7年だ」と予想した。
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米国のキッシンジャー元国務長官は2023年5月17日、100歳の誕生日を記念するエコノミスト誌とのインタビューで「5年以内に日本は核武装するだろう」と衝撃的な予測を示した。その後5月26日に行ったウォールストリート・ジャーナルとのインタビューでもキッシンジャー氏は「中国の勢力拡大に対抗するため日本は大量破壊兵器を独自開発すると予想している。核武装まで早ければ3年、長くても7年だ」と予想した。
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このキッシンジャー氏の予測を当時の国際社会は「現実味がない」と切り捨て、また日本の平和憲法主義者たちも「日本の国民感情からしてあり得ない」と一蹴した。キッシンジャー氏の発言を巡り日本の研究者や元高級官僚らは筆者に「キッシンジャー氏は中国については詳しいが、日本については門外漢だ。日本国民で核武装を支持する割合は10%にも満たない」と説明した。それから6カ月後にキッシンジャー氏は死去し、この爆弾発言の背景は最終的に知られることはなくなった。しかし第2次トランプ政権発足による東北アジアの混乱や最近の高市早苗首相の過激な言動もあり、キッシンジャー氏の予言は再びにわかに注目を集めている。
危機感は米国の政界でも広がっている。ビーガン元米国務副長官は「北朝鮮の核の脅威に対抗するため、日本は独自の核開発に乗り出す可能性がある」とすでに警告してきた。「アジアの皇帝」と呼ばれるキャンベル元国務副長官も「中国の膨大な軍事力拡大をもはや米国だけでは阻止できない」と訴えた。一方でトランプ政権の安全保障政策に大きな影響力を持つコルビー国防次官が提唱する「拒否戦略」はいわゆる「報復」ではなく、「精密打撃能力」と「密度の高い戦略配備」を意味するものだが、これは同盟国との緊密な協力なしには不可能だ。つまりそのコンテキストは自然と日本の役割拡大と軌を一にしている。
日本国内の動きも穏やかではない。長きにわたり核兵器の製造・保有・持ち込みを禁じるいわゆる「非核三原則」が大きく支持されてきたはずが、2025年12月18日に高市政権の総理官邸幹部が「核武装の必要性」に言及し、国内外に大きな波紋を引き起こした。これに対して中国は「戦犯国である日本の核武装はアジアの災害」として強く反発した。しかし木原官房長官はこの発言について「政府の公式の立場ではなく、オフレコで語られた私見だ」としてこの幹部を処分する考えがないことを明確にした。高市政権発足後、日本の安全保障政策の流れが変わりつつあることを示す大きな出来事だった。
世界有数の学術誌や日本メディアでも日本の核武装に対する深い分析や一定のエビデンス(証拠)に基づいた主張が次々と公表されている。ゴードン元米国務次官補(欧州担当)とカーリン国防次官補はフォーリン・アフェアーズ誌に「米国の核の傘(拡張抑止)に対する友好国の信頼低下が今の国際社会の新たな不安要因になった」と指摘し、またそこから一歩進んで「この不信に対する適切な代案(プランB)がないことも新たな危機だ」とも警告している。2024年に韓国ギャラップと崔鍾賢(チェ・ジョンヒョン)学術院が共同で行った世論調査によると、韓国国民の間では韓国独自の核武装への賛成が70%を上回った。核武装に対する韓国国民の高い支持は「北朝鮮の核武装」も確かに原因として考えられるが、それに劣らず「米国の核の傘への不信」の方がより根本的な原因と分析されている。
日本の文芸春秋1月号も「中国の急速な核戦力増強と北朝鮮の核の高度化で東アジアの安全保障環境は欧州以上に不安定化している」として「日本も安全保障戦略の根本的な見直しが急がれる」とする専門家の一致した見方を伝えた。ウクライナ戦争や最近のグリーンランド問題の影響で欧州に駐留する米軍の撤収、さらには米国のNATO(北大西洋条約機構)脱退の可能性まで浮上したことで、同盟各国はプランBの準備がさらに求められている。先週ワシントン・ポスト紙は社説で「トランプ大統領が北朝鮮の核保有を認めて核軍縮交渉に応じた場合、韓国と日本の選択肢は核武装の方向しか残されていない」と懸念を示した。
日本は非核三原則など従来の安全保障政策を再検討する必要性に迫られており、また韓国もプランBの準備に力を集中しなければならない。これは韓米同盟を基盤とするプランAを維持しつつ、同時に韓国と日本による北朝鮮の核武装への対抗策、インド太平洋戦略、対中国戦略、AI(人工知能)の軍事利用、宇宙協力といった最先端分野を含むさまざまな方面での協力の模索を同時に意味している。その前段階あるいは窓口として韓国と日本の外相・国防相による2プラス2会議の新設も前向きに検討すべきだろう。
韓国社会では日本との安全保障協力が話題になると、多くの人が自衛隊の韓国領土侵攻を連想するためまともな議論ができなくなる。しかし今こそ見方を変えて視野を広げねばならない。北朝鮮の潜水艦や核施設をリアルタイムで監視する宇宙分野での協力はもちろん、陸上の在来兵器ではなく先端科学技術分野の領域で新たなパートナーシップの拡大が求められている。韓国と日本が安全保障政策で一致した声を上げ、2026年の米国家安全保障戦略(NDS)後に共同で米国と交渉する新たな安全保障政策のパターンが築き上げられることを期待したい。
中国が日本の核武装を望まないなら、自分たちの核武装拡大を自制し、北朝鮮の不可逆的な非核化という成果を示さねばならない。米国で強硬派として知られるボルトン元国家安全保障補佐官は2013年「中国が北朝鮮の核開発を止められないなら、日本の核武装はさらに説得力を持つだろう」と警告したが、この発言は時間が過ぎるほど力を得ている。中国は韓国に対しても一方的に忍耐だけを強要すべきではない。北朝鮮の核問題に責任ある行動を示さなければ、東アジアはキッシンジャー氏の重い予言通りに動いていくだろう。
朴仁国(パク・イングク)元国連駐在大使、崔鍾賢学術院初代院長
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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