◆高校時代…「仕返し相手を書いたリスト」持ち歩く
勉強はできるほうだった。彼と同じウェストフィールド高校に通っていたというある学生は、「チョ容疑者は本当に頭がよかったが、とても口数が少なくて孤独なため、“頭の中が混乱している人”のように見えた」と振り返る。
だが、彼の学校生活は徐々に悪夢と化していった。同級生のクリス・デービスさんは「授業中に本を読もうとしないので、先生が無理やり読ませたら、やっと口に何か詰まっているかのような変な声で本を読んだ。すると生徒たちが笑い始め、彼を指差して“中国に帰れ”と言った」と語った。他人を避け、一人ぼっちになった彼の成長期における学校生活は、彼の心の中で外部の世界に対する敵対心を膨らませ、倒錯した世界観を形成した可能性がある。
チョ容疑者と同じ高校に通っていたカーマン・ブランドン(ウェストバージニア大学在学中)は「チョ容疑者は高校のとき、“仕返ししてやる相手の名前を書いたリスト”を作り持ち歩いていた」という。
◆大学時代…暴力的な詩を「直せ」と指導されてもそのまま提出
彼の精神状態が悪くなり始めた。電気をつけたまま寝て、夜の明けないうちに目を覚まし、いつも同じ音楽だけを繰り返し聴き、一人でバスケットボールをして一人で食事をするなど、人と交わろうとしなかったという。大学の教授たちが彼に話しかけても、20秒以上待ってやっと一言声が聞ける程度だった。
英文科のニッキー・ジョバンニ教授は、チョ容疑者のことを「授業時間中に不必要なもめごとを起こすトラブルメーカー」「チンピラ」と記憶している。 ジョバンニ教授は「彼はいつも帽子をかぶりサングラスをかけていたので、授業が始まる前に毎回、帽子とサングラスをとるよう言わなければならなかった」と話す。暴力的でわいせつな内容の詩を頻繁に作り、これを直すよう指示してもそのまま3回提出し、反抗した。米シークレットサービスの心理研究室長を務めていたマリッサ・ランダッツォ氏はAP通信とのインタビューで「学校内の銃撃事件の犯人は71%がいじめを受けたことがある。これが歪んだ世界観や極端な攻撃性の形成に影響を及ぼす」と説明する。「チョ容疑者もそうした前例とまったく同じ典型的なケース」とのことだ。
ワシントン=許容範(ホ・ヨンボム)特派員
チェ・ボユン記者
【ニュース特集】米バージニア工科大銃乱射事件