韓国の肥満治療薬市場で半分以上のシェアを占めていた薬品の使用が禁止されたことを受け、今後ダイエット薬品の多くが麻薬類を中心としたものになる可能性を懸念する声が出ている。
食品医薬品安全庁は14日、心筋梗塞や脳卒中などの深刻な副作用を引き起こすとして「シブトラミン」が含まれた食欲抑制剤60種類について、自主的な販売中止と製品の回収を要請した、と発表した。これは、欧州医薬品庁(EMA)に続き、米国食品医薬品局(FDA)が今月9日、シブトラミンを使用した「リダクティル」の販売中止を勧告したことに伴う措置だ。
韓国では現在、「リダクティル」のほか、韓米薬品の「スリマー」、鍾根堂の「シルクライン」、柳韓洋行の「リダクタミン」など、シブトラミンを使用した薬品が60種類販売されている。
韓国の肥満治療薬市場は、▲シブトラミン(向精神性ではない食欲抑制剤)▲向精神性の食欲抑制剤(麻薬類)▲オルリスタット(脂肪分解剤)-に分類され、昨年の売上額全体(940億ウォン=約68億4900万円)のうち半分以上を、シブトラミン(509億ウォン=約37億880万円)を占めていた。
専門家たちは、「シブトラミンの販売が中止されれば、肥満治療薬の市場は、韓国人の肥満型には合わないオルリスタットや、向精神性の食欲抑制剤を中心としたものになる可能性が高い」と指摘した。だが、向精神性の食欲抑制剤は麻薬類に分類されるため、依存性が生じる恐れがあり、不眠症やうつ病などの副作用をもたらす可能性も高いことから、食品医薬品安全庁が使用を自制するよう勧告している。
韓国ではすでに、向精神性の食欲抑制剤の使用量が世界2-3位に達しており、国連の国際麻薬統制委員会が2005年、韓国に対し、十分留意するよう要請した。