ソン・ヨルム&辻井伸行が合同公演(上)

 向かい合わせに置かれた2台のピアノに、二人がそれぞれ座った。そして二人は、モーツァルトの『2台のピアノのためのソナタ 』を同時に弾き始めた。一人は生まれつき全盲の日本人ピアニスト・辻井伸行(23)、もう一人は韓国で将来を嘱望されているピアニストのソン・ヨルム(25)だ。

 15日夜、「ソン・ヨルム&辻井伸行ピアノ・デュオ・コンサート」が開かれたソウルの「芸術の殿堂」コンサートホールは、二人の若者が同時に鍵盤に触れた瞬間、ひとつになった。「韓日友情が響き渡る希望のコンサート」と題したコンサートは、毎日新聞社と朝鮮日報社との共催で行われた。

 辻井伸行は1988年、東京で産婦人科医の父と元アナウンサーの母との間に生まれた。生まれつき目が見えないという重い障害を抱えて育ったが、誰よりもチャレンジ精神にあふれ、活発な性格の持ち主だ。それは、母・辻井いつ子氏の教育のたまものでもある。いつ子氏は「目が見えないのなら、人一倍チャレンジしなければ」と、息子に美術品鑑賞、水泳、スキー、登山、乗馬を教えた。2歳のころからピアノを習い始めた辻井伸行は、2009年に米国の「バン・クライバーン国際ピアノコンクール」で優勝し、世界中から大きな注目を集めた。

 ソン・ヨルムと辻井伸行が出会ったのも、そのコンクールだった。準優勝だったソン・ヨルムは優勝した辻井伸行の脇を支えながら表彰台に向かい、祝福の言葉を送った。そんなソン・ヨルムを見て、日本の音楽愛好家たちは感動を覚えたという。

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  • 音楽の前に韓国と日本、健常者と障害者の壁はなかった。15日、芸術の殿堂で合同公演を行う辻井伸行(手前)とソン・ヨルム。/写真=李鎮漢(イ・ジンハン)記者

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