日本の中央競馬で結果を残せなかった馬を韓国に持ち込み、スター競走馬に育て上げた馬主が、約7億ウォン(現在のレートで約6900万円、以下同じ)の賞金を、元の馬主に対し約束通りに支払わなかったとの理由で在宅起訴された。
ソウル中央地検刑事7部(ソン・ギュジョン部長)は、日本から競走馬「ダイワアラジ」を持ち込んだC氏に対し「賞金を獲得したら90%を支払う」と約束したにもかかわらず、2003年に獲得した賞金1279万ウォン(約125万円)をはじめ、08年まで46回にわたって獲得した賞金7億8000万ウォン(約7650万円)のうち7億ウォンを支払わなかったとして、現在の馬主であるY氏(67)を特定経済犯罪加重処罰法の横領罪で在宅起訴した、と20日発表した。
ダイワアラジは日本の中央競馬で7レースに出場したものの、優勝圏内に入ることが一度もなく、引退同然の形で韓国に移籍してから実力を発揮し始めた。2007年まで51レースに出場して14回優勝したほか、2位になったことも10回あり、勝率は27.4%、複勝率(出場したレースで優勝または2位になった比率)は47.7%を記録、「果川の怪力馬」と呼ばれた。09年に現役を引退し、現在は競走馬を生産するための種牡馬として管理されている。
ダイワアラジを日本から持ち込んだC氏は11年にわたり、自分の持ち分を主張してこなかったが、最近になって、約束した賞金の支払いを求めてY氏を告訴したことが分かった。検察は、ダイワアラジを無償で譲り受けたY氏が、本来の馬主だったC氏の取り分の7億ウォンを支払わず、自分のために使用したとして、横領罪を適用し起訴した。だが、Y氏は「賞金を1対9に分ける約束をしたことなどない」と主張しているという。Y氏は検察の調べに対し「当時、仲買人を通じて馬を何頭か購入したが、引退同然だったダイワアラジはおまけとして受け取ったと聞いた」と供述したという。検察は当初、刑事調停を通じて和解を試みたが、双方の主張の隔たりが大きく、和解に至らなかった。
一方、韓国馬事会の関係者によると、海外から持ち込まれた競走馬の価格は通常2万-3万ドル(約210万-310万円)で、その馬がレースで1位となって賞金を獲得した場合、馬主の取り分は80%になるという。残る20%は騎手や調教師、世話係などの取り分となり、また騎手は所定の騎乗料を別に受け取ることになる。
馬事会が主管する競馬のレースは、一般競走、特別競走、重賞競走に分かれているが、一般競走の賞金総額は通常1億ウォン(約980万円)程度だ。また「グランプリ杯」「大統領杯」などのタイトルが付いた重賞競走の賞金総額は5億-7億ウォン(約4900万-6900万円)になることもあるという。賞金のうち半分は優勝した馬の取り分となり、以下5位までの馬に対し、決められた比率に従って支給される。
競馬の観客たちが馬券の代金として支払った金は、馬券購入者に配当率に応じて支払われる。配当率を表示する電光掲示板は、レースが始まる前から30秒ごとに更新されるが、勝率が高く人気のある馬ほど配当率は低く、無名の馬ほど配当率が高くなるため、掲示板から目を離さない観客も少なくない。