ジョンミさんは「もしかしたら家族が私を捨てたのではないかという考えにとらわれ、これまで家族を捜すことがなかなかできなかった」と話した。だが、自ら母親になったことで、次第に家族に対する思いが強くなった。「母方の祖母や親戚(自分の母親や姉の家族)がいたならば、自分の子どもたちをもっとかわいがってくれただろうに」とも思ったという。
昨年、ジョンミさんの事情を知る義兄が「お前とよく似ている人を知っているが、その人も妹と生き別れたと言っていた。よかったら会ってみないか」と提案した。民間病院で2回にわたってDNA鑑定を行ったが、家族ではないとの結果が出た。ジョンミさんは「あの出来事がきっかけで、実の姉が私のことを覚えているならば、気をもみながら私を探しているのではないかと思った」と話した。それから間もなく、警察に行方不明者のDNA登録をした。
スンジャさんはジョンミさんを捜すため、6年前にテレビ番組に出演し、地方紙にも数回にわたって広告を出したが、無駄足に終わった。スンジャさんは今年10月「DNA鑑定によって生き別れた家族を捜し出すことができる」という話を聞いたジョンオクさんの提案を受け、慶尚南道密陽警察署に出向いてDNA登録をした。保健福祉部(省に相当)の委託で、行方不明になった子どもに関する専門的な機関を運営している「緑の傘子ども財団」は、警察に登録されたDNA情報について国立科学捜査研究院に鑑定を依頼し、スンジャさんとジョンミさんが実の親子であることを確認した。今月15日に出た最終的な鑑定結果で、二人が実の親子である確率は99.9%となった。