「伊藤博文(1841-1909)に随行していた人々はびっくりしてその場を離れた。ロシア人と日本人の随行員たちは気が狂ったように逃げまどった。あるロシアの将軍は四つんばいで逃げ、おびえた様子で辺りを見回していた」
独立運動家の安重根(アン・ジュングン、1879-1910)が1909年10月26日、ハルビン駅で初代韓国統監の伊藤博文を狙撃した事件直後の状況を詳しく伝えたロシアの新聞が見つかった。
李泰鎮(イ・テジン)韓国歴史研究院長(ソウル大名誉教授)は4日「安重根義士の義挙について報じた1911年10月24日付のロシア・ペテルブルク新聞の記事をロシアの新聞記事アーカイブで見つけた」と明らかにした。安重根はハルビン駅で伊藤と随行員3人に向けて拳銃を発砲し、ロシア語で「韓国万歳」と叫んだ後、ロシアの憲兵に逮捕された。この記事は狙撃直後の状況を詳細に描写しているのが特徴だ。
記事は、当時のココツェフ・ロシア蔵相が安重根の狙撃直後「目の前で起こった事件に慌てることなく、倒れた伊藤公爵を支えた」と伝えている。ココツェフ蔵相はハルビンで伊藤と会談することになっていた。
また「伊藤を迎える歓迎式をフィルムに収めるため、ハルビン駅にいたロシアのカメラマンがカメラを回していたおかげで、銃撃の瞬間も撮影することができた」と伝えた。ソウル大ロシア語ロシア文学科の博士課程に在籍するイ・ジョンヒョン氏が翻訳したロシア・沿海州国立博物館の研究論文によると、この映像は「ハルビンで撮影された初の映画」でもあったという。
記事によると、当時、この映像の版権を持っていたロシアの上映会社はハルビンの映画館で映像を上映する計画だったが、ロシア当局から上映禁止の処分を受けたという。このため、会社側はフランスの企業家に映像を1万5000フランで売り渡した。その後、映像は長い間フランスで上映され、2009年に一部が韓国KBSのテレビ番組『歴史スペシャル』で公開された。