【コラム】財閥の跡継ぎばかりが富を得る韓国

 韓国で安定したビジネス基盤を持てるのは、ほぼ財閥オーナー家に限られる。財閥2世、3世は能力の検証を受ける必要もなく、安定した基盤の上でビジネスができる。なおかつ、系列会社の物流を独占する会社、グループ全体の広告を制作する会社、グループ従業員数万人の食事を提供する給食会社のような、楽に儲けられる会社を安値で譲り受けるという「反則」もしている。こうした状況ゆえに、今では財閥2世、3世の「第2の創業」意欲さえもしぼみつつある。

 「金のスプーン」(金持ちの子息を指す)を逆転できない資本主義は、封建主義とさして変わらない。若者たちは大きな夢を抱いて冒険するより安全な道ばかりを選ぼうとしている。工学部の首席卒業者が医学専門大学院を目指し、ロースクール(法科大学院)の入試競争率が高すぎる韓国は「死んだ資本主義」に向かいつつあるのかもしれない。

 起業を手助けする金融システムの支援を受けられるシリコンバレーの若手起業家たちは、ウォール街の大手投資銀行からの投資提案を拒むほど堂々としている。彼らは「情熱と覇気」を早くから質に取られたくはないと言い、より大きな挑戦に向かう。韓国の若者たちに情熱と覇気が足りないと舌打ちする前に、まずは彼らが恐れずに挑戦できる環境を整えてやるべきだ。

ニューヨーク=金徳翰(キム・ドクハン)特派員
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