旅客船沈没:引き揚げ成功後も拡大再生産され続ける陰謀論

旅客船沈没:引き揚げ成功後も拡大再生産され続ける陰謀論

 「いちいち釈明する時間はない。全力をセウォル号引き揚げの仕上げ作業に集中している」

 セウォル号を木浦新港に移すための準備作業に当たる海洋水産部(省に相当)の関係者は27日、インターネット上での「セウォル号沈没陰謀論」についてそう語った。海洋水産部の職員らは長時間の引き揚げ作業と高難度作業の連続で疲れきった状態だ。引き揚げ成功で一息つけるはずだったが、緊張が解けた様子を見せると、別の陰謀論が浮上するのではないかと神経を尖らせている。

 苦労の末にセウォル号の引き揚げに成功したが、陰謀論は新たなバージョンで再生産され続けている。海洋水産部は公にコメントを避けながら、「何も言えずに悶々としている」という。

 特に政府が引き揚げの過程でセウォル号のランプ(自動車などの積み下ろしを行う開閉式の橋)を除去したことが「故意による破損だ」とする主張について、海洋水産部関係者は「当時の状況を知らないから言えることだ」と反論した。同関係者は「ランプを切り離さなければ、引き揚げは失敗していたはずだ」とし、「ランプは保存状態が良く、引き揚げ終了後に回収する」と説明した。

 海洋水産部の金栄錫(キム・ヨンソク)長官は同時、世宗市の同部庁舎で記者懇談会を開き、一連の陰謀論について、「動揺しない」と語った。特に海洋水産部が故意に引き揚げを遅らせたのではないかという一部指摘について、金長官は「朝までに(ランプを)切断しなければ、時機を逃すと考えると本当に血の気が引いた。不安の中で行った努力に対する認識が足りないのではないか」と述べた。

 セウォル号の引き揚げ過程で海洋水産部が疑惑にさらされるのは今回が初めてではない。潜水員の通路確保、大型のエアバッグ設置のために船体に穴を開けた際にも「海洋水産部が証拠を破損した」といった批判が聞かれた。

 海洋水産部の職員からはこうした陰謀論について、「あんまりだ」という不満の声が漏れる。同部関係者は「セウォル号引き揚げは監督官庁が行うべきことなので、称賛など期待もしていなかった。これもそれも違うといった具合に疑惑を指摘され、多くの人の努力がおとしめられたようで複雑な心境だ」と話した。

尹柱憲(ユン・ジュホン)記者
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