【萬物相】韓江氏は韓国人全体の意見を代弁したつもりか

 「韓国戦争(朝鮮戦争)は強大国が韓半島で行った代理戦争だった」という記述は明らかに事実誤認だ。北朝鮮の金日成(キム・イルソン)が中国の毛沢東やソ連のスターリンと緻密な事前準備をした末に起こした赤化侵略戦争が韓国戦争であることは、数多くの証拠により立証されている事実だ。「代理戦争」という主張は北朝鮮の戦争責任をごまかし、現在の韓半島の状況に関して誤解を生じさせかねない。

 最大の問題は、筆者の個人的な意見であるのにもかかわらず、この文章がまるで韓国人全体の意見であるかのように書かれていることだ。誰が同氏に対して、北朝鮮の核問題や韓半島の戦争危機について韓国人の意見を代弁する資格を与えたというのか。北朝鮮の核問題の解決方法をめぐり、韓国国内で激しい意見の対立がある中、同氏の文章は韓国人の考えを、米国をはじめとする世界各国に間違って伝える恐れがある。小説家であれ、誰であれ、政治問題・社会問題に関して自身の意見を語ることはできる。だが、それにしても同氏がどういう経緯でこのような文章を書くことになったのかが気になる。

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が核爆弾を作ったのは、本人が言っている通り、韓国をつぶすためだ。北朝鮮政権は人々を機関銃で穴だらけにし、火炎放射器で焼き尽くした集団だ。今、韓国人5000万人が実際にその集団にめちゃくちゃにされることになるかもしれない危機に直面している。このような状況でも小説家は芸術の自由を守らなければならないというなら、どんな意見を言うべきだったのだろうか。同氏がこの文章で「トランプも嫌だが、金正恩はもっと嫌だ」と書いていれば、もっと説得力があっただろう。

金泰翼(キム・テイク)論説委員
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