韓中関係はここ25年間、量的には大きく拡大したが、質的には全く成熟し得ていない。韓国政府は2000年のにんにく摩擦のときもそうだったように、両国の利害が衝突するたびに中国市場を手放せないとの理由で譲歩し、それを国民にはあまり知らせてこなかった。中国政府が「北朝鮮の核開発を阻止するために北朝鮮政権を崩壊させることはできない」との方針を決めたのは胡錦濤・国家主席の時代だったが、そのときも韓国政府はこれに強く抗議もせず、また積極的な対策も取らなかった。それどころか中国を活用して北朝鮮の核を廃棄するという幻想に陥ったこともあった。韓中関係において外交・安全保障と経済が極端なアンバランスに陥った責任は中国の一方的な覇権主義的態度もあったが、それに加えて韓国政府の無能と無責任な態度が大きく影響したことも否めない。
韓国政府は11月のAPEC首脳会議後、遅くとも年内には文在寅(ムン・ジェイン)大統領の中国訪問が実現するよう働き掛けを続けているという。これによって中国のTHAAD報復は撤回されねばならず、また北朝鮮の核問題解決に向けた協力についても話し合いを続けねばならない。どちらも早急に解決しなければならない問題だ。ただしこれ以上に重要な問題は韓中関係を根本から見直すことだ。THAAD問題と関連して中国は韓国の国家主権を乱暴な方法で侵害したため、この点について韓国は中国に堂々と謝罪を求めなければならない。習近平・国家主席、日本の安倍首相、ロシアのプーチン大統領、米国のトランプ大統領など、周辺をストロングマンに囲まれ、なおかつ何の抑止力もない状態で韓国は国の主権とプライドを守り抜かねばならない。しかし現状から顔を背けているようではこれらを守り抜くことはできない。