存在感示した北朝鮮代表団の「実力者」玄松月氏

存在感示した北朝鮮代表団の「実力者」玄松月氏

 15日午後7時、南北実務接触が行われた板門店北朝鮮側の施設「統一閣」。会議が終わる直前、北朝鮮首席代表の権ヒョク奉(クォン・ヒョクボン)文化省芸術公演運営局長が右を向き、隣の席に座った女性に敬称を使うなど、礼儀正しく何かを尋ねた。この女性は「金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の元恋人」といううわさがある女性音楽グループ「牡丹峰(モランボン)楽団」の玄松月(ヒョン・ソンウォル)団長だった。玄松月氏が南北対話の舞台で前面に出てきたのは異例だと受け止められている。韓国政府筋は「玄松月団長こそ『実力者』であることが会談を通じて何度も明らかになった」と言った。

■存在感示した玄松月団長

 「管弦楽団団長」という肩書きで現れた玄松月団長は紺色のスーツ姿だった。ジャケットの襟には金日成(キム・イルソン)主席と金正日(キム・ジョンイル)総書記のバッジを付けており、韓国側代表団を迎える時、玄松月団長はかすかなほほ笑みを浮かべていた。あいさつを交わした韓国統一部(省に相当)関係者は「余裕があって堂々とした印象だった」と言った。

 黒のハイヒールを履いた玄松月団長は緑のハンドバッグと茶色のファイルホルダーを持って会談の会場に移動した。同日の接触に出席した韓国側代表は「権ヒョク奉代表と玄松月団長はほぼ公平に発言した」と話す。普通、南北対話が首席代表(代表団長)の発言を中心に行われることを考えると異例のことだ。

 玄松月団長は太いアイラインを入れ、髪は半分だけまとめて後ろで垂らしていた。平壌出身の脱北者女性イ・ナギョン氏は「玄松月団長のヘアスタイルは芸術団の規定によるものだ」と話す。同団長が持っていたハンドバッグについては「仏ブランド『エルメス』の2500万ウォン(約260万円)の製品」という話もあったが、同ブランドでは「当社の製品ではなさそうだ」と答えた。

 玄松月団長は、金正日時代の代表的な芸術団「普天堡(ポチョンボ)電子楽団」の元歌手だ。金正恩委員長の元恋人といううわさもあるが、確認されてはいない。玄松月団長は2014年5月の全国芸術人大会に大佐の階級章を付けた軍服姿で登場した。昨年10月の党中央委員会第7期2次全員会議では党中央委員会候補委員に抜てきされた。さらに、15年12月の「牡丹峰楽団北京公演中止」で金正恩委員長の厚い信任を受けたという。玄松月団長はこの時、中国側が牡丹峰楽団の北京公演の舞台背景に核ミサイルが登場するのを問題視したが、「元帥様(金正恩委員長)の作品は点1つ取ることができない」と反発して公演をキャンセルし、帰国したと言われている。

李竜洙(イ・ヨンス)記者 , キム・ミョンソン記者
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