この「金英哲資料」には統一部が独自に整理した11項目の「争点事項」と3項目の「主要事項」が記載されていた。しかしその中には事実に反するものや、誤解を招きかねない内容もあった。統一部は資料の中で、2010年8月に金英哲氏を制裁対象とした米国の行政命令13551号について「哨戒艦沈没と金英哲氏を直接関連づけたものではない」と主張している。しかしこの行政命令13551号は制裁の理由について▲哨戒艦沈没▲2009年の第2次核実験▲国連安保理決議1718号・1814号違反(ミサイル発射)-などが明記されており、しかもこの行政命令で制裁対象に指定された人物は金英哲氏だけだ。これについてある外交筋は「行政命令13551号は金英哲氏に哨戒艦沈没の責任を問うための制裁」と断言した上で「統一部の説明は到底納得し難い」と指摘している。
■統一部を援護する国家情報院と国防部
国家情報院と国防部も統一部の援護射撃に乗り出した。国会情報委員長を務める保守系野党・自由韓国党の姜碩鎬(カン・ソクホ)議員によると、国家情報院の金相均(キム・サンギュン)第2次長はこの日行われた国会情報委員会の懇談会に出席し、金英哲氏が哨戒艦攻撃の黒幕だったかどうかについての見解を語ったという。金第2次長は「推測は可能だが、金英哲氏がはっきりと指示したかはわからない」とした上で「金英哲氏が南北関係の最高責任者であり、軍事的な緊張緩和や南北関係の進展、非核化を含む様々な課題について実質的に話ができる責任者と考え、受け入れることにした」と説明したようだ。
国防部の崔賢洙(チェ・ヒョンス)報道官は記者団との懇談会に出席した際、ある記者から「当時のファン・ウォンドン国防情報本部長は偵察総局の犯行である可能性に言及したが、国防部の立場はどうか」との質問を受けると「可能性があると話したものであり、公式の結論を出したわけではない」とコメントした。崔報道官はさらに「(国防部の公式文書に)金英哲氏や偵察総局について言及する内容はない」とも主張した。大統領府もこの日資料を配付し、その中で「国民の多くも北朝鮮高位級代表団の来韓が韓半島の緊張緩和に多くのプラスをもたらすと考えている」との考えを示した。