「韓国の難民嫌悪はヒステリーレベル」 外信が相次ぎ批判

 済州島で急増するイエメン難民に対し韓国で受け入れ反対運動が起きていることをめぐり、複数の外信が「ヒステリー症状に近い」と批判を強めている。外信各社は、韓国人がイエメン難民に関する「フェイクニュース」を拡散し「ゼノフォビア(外国人嫌悪)」を助長していると指摘した。今年、済州道に難民申請を出したイエメン人の成人男性が500人を超えたことが分かると、若者層と女性を中心に「難民嫌悪」ムードが広がった。

 米国の外交専門誌「フォーリンポリシー」は6日(現地時間)「難民問題でストレスを受ける韓国」と題する記事で「フェミニストや若者、イスラム系を怖がっている人々が一つになって、イエメン難民に対する嫌悪ムードを助長している」として「これはヒステリーレベルだ」と報じた。

 同誌は、法務部(省に相当)の朴相基(パク・サンギ)長官が先日、「難民法・無査証入国の廃止」の国民請願に対して答えた内容に、外国人に対する嫌悪感がにじんでいると分析した。朴長官は1日、青瓦台(大統領府)のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の放送に出演し「難民の『本国への強制送還』が可能になるよう関連法を改正し、難民認定の事由に虚偽の事実が見つかった場合、難民認定を取り消せるようにする」と発言した。「『偽装難民』を見つけ出す」という朴長官の言葉自体を外国人嫌悪と見なしたわけだ。

 同誌はイエメン難民に対する文在寅(ムン・ジェイン)政権の態度についても批判した。同誌は「進歩的な文在寅政権で難民嫌悪問題が発生し、少し失望している」「文政権の支持層が、難民問題に敏感な若者や女性、中産層だからだ」と書いた。文政権が支持層の目を気にしてイエメン難民を冷遇しているというわけだ。韓国リサーチの調査によると、難民受け入れに反対しているのは主に女性(61%)、20-30代(66-70%)、中道保守層(60-61%)だった。

 フォーリンポリシーは、済州島で7月に起きた女性行方不明事件で「難民が女性を殺害した」といううわさが流れていることをめぐり「韓国社会には外国人嫌悪と人種差別主義が蔓延している」と分析。この事件は先月25日、済州島の海岸で女性(38)が行方不明になり、1週間後に遺体で発見されたものだ。現在は、(殺人ではなく)女性が足を踏み外して死亡したとの見方が強まっている。

 外信が韓国で起きている難民反対現象を批判したのは今回が初めてではない。日本の「日経アジアンレビュー」は先月12日「韓国に来た難民たちがフェイクニュースと難民受け入れ反対運動に悩まされている」として「インターネットで難民に関する根拠のないうわさが飛び交い、難民恐怖症が広まっている」と報じた。イエメン難民が押し寄せるようになってから、韓国では「欧州では難民を受け入れてから、性的暴行事件が増えた」といううわさが出回った。

 米紙ニューヨーク・タイムズも先月1日(現地時間)「韓国人の終わりなき人種差別主義」と題する社説を掲載。同紙は「韓国人は外国人に寛大ではない。イエメン難民の事態が、このような韓国人の態度が表面化するきっかけを作っただけだ」として、韓国人による外国人嫌悪に言及した。さらに「仮に韓半島(朝鮮半島)で戦争が起きて韓国人が難民になり、今のイエメン難民と同じ扱いを受けたらどうするつもりなのか」と指摘した。

 ブルームバーグ通信は6月29日(現地時間)、「韓国はイエメン難民問題について、米国のトランプ政権の反移民政策を参考にしている」と報じた。

イ・ダビ記者
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