「安全な国」掲げる文在寅政権、相次ぐ安全事故にだんまり

 今月9日、ソウル市鍾路区観水洞にある「考試院(コシウォン)」と呼ばれる簡易宿泊所から出火し、日雇い労働者ら7人が死亡した。李洛淵(イ・ナギョン)首相は同日、京畿道南楊州市で開かれた消防の日の行事で、「国民に申し訳ない。消防体制を再チェックする」と述べた。火災現場を訪れたのは行政安全部(省に相当)の金富謙(キム・ブギョム)長官だけだった。青瓦台は特に論評しなかった。

 文在寅(ムン・ジェイン)政権は就任1年目には「事件事故が起きるたびに大統領が責任を取るのか」とささやかれるほど、事故現場に注意を払った。

 昨年12月3日午前6時ごろには、仁川市の霊興島沖で22人が乗った釣り船がタンカーと衝突、転覆し、15人が死亡した。文大統領は翌日、青瓦台の首席秘書官・補佐官会議を開き、10秒間黙祷した後、「事故を防げなかったことと救助できなかったことは国家の責任だ」と発言した。

 昨年12月21日には忠清北道堤川市で29人が死亡するスポーツセンター火災が起きたが、文大統領は消火作業中の消防官に「人命被害を最小化するように万全を期してもらいたい」と発言した。事故の翌日には直接現場を訪れた。青瓦台の朴洙賢(パク・スヒョン)報道官(当時)はフェイスブックに「(帰りの車中で)大統領は明らかに泣いていた。国民のために泣く大統領」と投稿した。

 堤川の火災事故から1カ月もたたず、慶尚南道密陽市の療養所でも火災が起き、入所していた高齢者ら44人が死亡した。李首相は日程をキャンセルし、火災現場を訪れた。文大統領も翌日、現場を訪れ、「国民に本当に申し訳ない。政府は安全な国を誓っているが、惨事が繰り返され惨憺(さんたん)たる状況だ」と述べた。

 しかし、就任2年目以降は、火災などの安全事故に文大統領自身が直接言及することは減った。代わりに李首相が発言するケースが増えた。9月6日深夜にはソウル市銅雀区で工事現場の土留めが崩れ、幼稚園の建物が傾いた。数時間前に崩壊していれば、幼稚園児に多数の犠牲が出かねなかった。文大統領は特に言及せず、2日後に李首相が現場を訪れた。

金垠廷(キム・ウンジョン)記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
あわせて読みたい