【社説】問題暴露にさるぐつわはめる文在寅政権

 韓国政府はシン・ジェミン元企画財政部秘書官を検察に告発した。シン元事務官が企画財政部によるたばこメーカーKT&Gの社長人事介入疑惑や4兆ウォン(約3800億円)の国債発行問題に関する問題点を暴露したことが公務上の機密漏えいに当たると判断したためだ。公務上の機密漏えい罪は、流出した機密が国家運営を妨害したり、国益を害したりした場合に成立する。政府の違法行為を暴露した場合には処罰しないというのが過去の判例だ。シン元事務官の発言通り、KT&Gへの人事介入は政府はサムスンやLGのCEOに交代を求めるに等しい。税収好調時に赤字国債を発行しようとしたのは、政治的目的による国債市場への介入だ。いずれも常識的な問題提起と言える。どこに国家運営を妨害し、国益を害する部分があるというのか。

 シン元事務官は「自分もろうそくを手にしたが、新政権も結局は同じだった」「自分のように絶望する公務員がなくなるよう願っている」と述べた。シン元事務官のような考えを持つ公職者はこれからも出てくるかもしれない。シン元事務官に対する告発は、新たな暴露にさるぐつわをはめ、口を封じるものだ。民主化運動勢力を名乗り、「人権」「正義」を口にする人々の特技は、誰かを取り調べ、刑務所送りにすることしかないようだ。

 韓国政府は「シン元秘書官が事実と異なることを漏えいした。是非が明確にされるべきだ」と主張した。事実をはっきりさせるにはシン元秘書官を名誉毀損で告発すればよい。しかし、名誉毀損ではなく、機密漏えいが問題なのだという。「民間査察疑惑」を暴露した青瓦台特別監察班のキム・テウ捜査官も名誉毀損ではなく、公務上の機密漏えいで告発された。口では「是非をはっきりさせよう」と言っているが、行動では是非が識別できないようにしている。なぜそんなことをしているかは子どもでも分かるはずだ。

 文在寅(ムン・ジェイン)政権は発足の際、「公益のための通報強化」を100大国政課題の一つに位置づけた。大統領選の際には選挙対策委員会に公益通報支援委員会を置き、記者会見まで開いた。前政権で左遷された公務員が要職に続々と復帰した。それはみんなショーにすぎなかった。ご都合主義ではないことなど現政権では見当たらないほどだ。

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