国家記録院は事実関係を取捨選択して公開した部分もある。公開されたロシア紙記事にはやや否定的な記述もあった。安義士による義挙後、大韓帝国皇帝の純宗(スンジョン)が曾禰荒助(そね・あらすけ)朝鮮統監を訪ねて謝罪したという内容が代表的だ。純宗が「恩人であり身近なわれわれの顧問である伊藤侯爵が邪悪なわが国民によって殺害された」として、日本政府に謝罪の意を表明したとの部分だ。記録院は論議を呼ぶ部分をなるべく隠そうとしたのではないかとの指摘を受けている。
国家記録院は徳成女子大教授出身の李昭姸(イ・ソヨン)院長が2017年に就任して以降、しばしば話題になっている。李院長は就任直後、国家記録院の「積弊清算」に乗り出した。18年1月、「朴槿恵(パク・クンヘ)政権時代の国家記録院が特定の専門家をさまざまな委員会から排除するための『ブラックリスト』を作成した疑いがある」として、民間人14人が参加する「国家記録革新タスクフォース」を設置した。しかし、タスクフォース発足から2カ月後、李院長は「(ブラックリストが存在するという)確実な証拠は見つからなかった」と表明した。このため、国家記録院が明確な証拠もないまま、無責任な発表を行ったのではないかとする批判が相次いだ。専門家は「国家記録院が本来業務である資料の収集と保管から逸脱しようとしているため、雑音が絶えない」と指摘した。