【萬物相】「武漢肺炎」対「米国インフルエンザ」

 しかし医学的には、この二つは次元の異なる脅威だ。インフルエンザは原因・感染経路が全て把握されている上、予防ワクチンがあるため統制が可能だ。ただし、非常にありふれた疾患のため人々が軽く考え、これが被害を拡大させる。米国のインフルエンザ予防接種の接種率は50-60%程度だ。一方で武漢肺炎は何も解明されておらず、当然ワクチンもない。今後どのくらい拡大するのかも分からない。致死率もインフルエンザの0.05%に対し、武漢肺炎は2-4%とはるかに高い。これが、世界が恐怖に震える理由だ。米国国内のインフルエンザは、それ自体が大きな問題だが、中国がこれを口実に米国の新型コロナウイルス対応を問題視するのは論点がずれている。

 与党「共に民主党」のある大統領選党内候補が「米国インフルエンザで1万人が死亡したが、それなら米国と米国人を嫌悪し、見下さなければならないのか」と述べた。中国嫌悪をやめるよう呼びかけた際に引き合いに出したものだが、次元の異なる二つの疾病は同じ線上で比較するものではない。「武漢肺炎」という呼び方は中国嫌悪を助長するとして「新型コロナ」と言い換える人たちが、あえて「米国インフルエンザ」という言葉を使う理由も気になる。

イム・ミンヒョク論説委員

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