対北コメ支援を推進しつつ「米入りペットボトル」には言い掛かり

統一部、緊急記者会見開き脱北者2団体告発方針を発表

 ところが、突然の姿勢を変えたことについて、統一部当局者は「事情変更があった」と言った。そして、その根拠として軍事境界線で南北間のすべての敵対行為を禁止した4・27板門店宣言(2018年)、場合によっては北朝鮮向けビラ散布を制限できるという大法院判決(2016年)などを挙げた。数日間に法解釈を180度変え、2-4年前の事を根拠に挙げたのだ。

 また、「無理な遡及(そきゅう)適用」だという声も上がっている。過去(5月)のことを処罰するため、後に法の解釈を変えたからだ。統一部が告発方針を明らかにした脱北者団体「クンセム」のパク・ジョンオ代表は「先月、ペットボトルを送る時、統一部から『未承認の搬出品だから承認申請をせよ』などの話はなかった」と語った。統一部当局者は「なかった法律を新たに作って(過去の出来事に)適用するのが遡及適用だ。法解釈を変えただけだから遡及適用ではない」と反論した。

■行き過ぎた「北朝鮮への忖度」?

 北朝鮮が「怒り」を見せるたびに韓国政府が「忖度(そんたく)」するかのように関連措置を打ち出すのも問題点として指摘されている。統一部はこれより前、金与正第1副部長が北朝鮮向けビラに言いがかりを付けて「法でも作れ」と言うと、4時間半で緊急記者会見を開いて「北朝鮮向けビラ散布禁止法」(仮称)を推進すると発表した。これに対して野党は「金与正下命法だ」と反発した。統一部はこの日も、予定になかった緊急記者会見で告発の方針を発表した。北朝鮮が南北間のすべての通信手段を断ち切った翌日のことだった。脱北者同志会のソ・ジェピョン事務局長は「金与正が作れと言ったら法を制定し、脱北者を告発までするとは、北朝鮮の顔色をうかがうにもほどがある」と言った。

キム・ミョンソン記者
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