■なぜ韓国国内には残っていなかったのか
高麗螺鈿漆器が韓国国内になく、日本などにのみごく少数残っている理由は何か。専門家らは、螺鈿漆器の材質の特性上、非常に繊細で壊れやすい上、温度・湿度の変化に弱く、保存が難しい-と語った。財団側は「タイマイ、ヤコウガイなど最高に高価な輸入品を使って、ごく少数が制作されたので、高麗時代においても極めて貴重だった」と説明した。
高麗螺鈿漆器は当時、外国の王室に贈る「豪華プレゼント」として人気があった。現在残っている高麗螺鈿漆器は、大部分がずっと以前から日本の寺院で所蔵してきたものだ。明知大学の兪弘濬(ユ・ホンジュン)碩座(せきざ)教授(寄付金によって研究活動を行えるよう大学の指定を受けた教授)は「当時、日本の寺院が積極的に高麗から輸入して『珍品中の珍品』として大切に保管してきた」とし「韓国国内からは消えた螺鈿漆器が日本の寺院を通してこんにちまで残っているというのは逆説的」と語った。
これで韓国は、完全な形の高麗螺鈿漆器遺物を3点保有することになった。今回戻ってきた螺鈿盒は国立中央博物館に所蔵される。同博物館は、今年下半期に特別展「高麗の色、漆」でこの遺物を展示する予定だ。