揺らぐ韓国ボトックス業界

米ITC「大熊製薬の製品、輸入禁止」…食品医薬品安全処、メディトキシン一部許可取り消し

 いわゆる「しわ取り」などに使われる韓国の「ボツリヌストキシン(別名:ボトックス)」業界が危機を迎えている。韓国市場シェア2-3位の会社が国内外で大きな悪材料に相次いで見舞われているからだ。

 米国際貿易委員会(ITC)は6日(現地時間)、韓国の製薬企業「大熊製薬」が同じく製薬企業「メディトックス」の営業上の秘密を侵害したと判断、大熊製薬のしわ改善剤であるボツリヌストキシン製品「ナボタ(米国での製品名:Jeuveau)」の10年間の輸入禁止を勧告する予備判決を下した。メディトックスは「真実が明らかになった」と、大熊製薬は「納得できない決定だ。異議申し立て手続きを進めていく」とコメントした。最終判決は11月に予定されている。

 両社は、2016年からボツリヌストキシンの原料となる菌株や生産工程をめぐり、国内外で法的紛争を繰り広げてきた。メディトックスは「大熊製薬が菌株と工程を盗んだ」と主張、大熊製薬は「独自に開発したボツリヌストキシン製品だ」と反論していた。メディトックスは2006年に韓国で初めてボツリヌストキシン製品「メディトキシン」を、大熊製薬は2014年に「ナボタ」を発売した。大熊製薬は昨年5月、米国市場に進出した。国内での民事・刑事訴訟は現在進行中だ。

 ITCの最終判決でナボタの米国市場進出が阻まれることになれば、大熊製薬の成長の原動力が揺らぐことになると業界では予想している。大熊製薬はナボタで今後5年以内に約2兆ウォン(約1800億円)の売上高を期待している。また、大熊製薬は国内訴訟でも営業上の秘密の侵害が認められれば、これに対して損害賠償をしなければならなくなる可能性がある。7日の韓国証券市場で大熊製薬は17%急落し、メディトックスは価格制限幅(30%)まで上昇した。大熊製薬の米国販売パートナーであるEvolus社は時間外取引で株価が40%近く暴落した。

 メディトックスとしてはITCの予備判決で「ボトックス5年戦争」における初の勝機をつかんだことになる。しかし、メディトックスは最近、無許可原液使用や書類操作などで韓国食品医薬品安全処からメディトキシンの一部について品目許可取り消し措置を受けた。メディトックスはメディトキシン許可取り消しによる空白を次世代製品「イノトックス」などに置き換えていく計画だ。市場分析会社デダルリサーチによると、来年の世界のボツリヌストキシン市場規模は59億ドル(約6345億円)と予想されるとのことだ。ボツリヌストキシン市場は毎年急成長しているが、韓国メーカーはさまざまな悪材料で後退している。

ユ・ジハン記者
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